“暗黒の欧州ツアー”と呼ばれた時代があった。

それは1970年代後半から1980年代半ばまでの時期を指す。当時の欧州ツアーは米ツアーに実力的に大きく離されて低迷していた。

その頃、スペインのセベ・バレステロス、そしてイングランドのニック・ファルド、スコットランドのサンディ・ライル、ウェールズのイアン・ウーズナム、ドイツのベルンハルト・ランガーら欧州ツアーのプロたちが、20代の若手選手として台頭してきた。彼らは「“暗黒の欧州ツアー”をなんとか活性化しよう」と意気込んでいた。

画像: 1987年の全英オープン。イングランドのニック・ファルドがメジャー初優勝。以後通算6勝(マスターズ3勝、全英3勝)を果たす

1987年の全英オープン。イングランドのニック・ファルドがメジャー初優勝。以後通算6勝(マスターズ3勝、全英3勝)を果たす

「やはり、なんといっても1985年の“ライダーカップ”で、アメリカチームに勝ったことがブームの発端だったと思う。セベ、ライル、ウーズナム、ランガー、それに僕も含めて頑張ったことが、ヨーロッパのゴルフ熱を高めたと感じている。欧州ツアーは賞金も安かったけれど、僕たちは年齢もほとんど同じだったから、それがいい意味でのライバルになれた。お金じゃなく、まずお互いの技術を研鑽しあって、いずれ世界レベルの選手になろうと頑張ったんだ。そうすれば欧州ツアーも次第に活性化してくるだろうと……」(ファルド)

画像: 1988年マスターズに勝ったサンディ・ライル。スコットランド勢、初の王者となった

1988年マスターズに勝ったサンディ・ライル。スコットランド勢、初の王者となった

画像: 小柄な飛ばし屋、イアン・ウーズナム。91年のマスターズに勝ち、88年のライルから欧州勢の4連勝となった

小柄な飛ばし屋、イアン・ウーズナム。91年のマスターズに勝ち、88年のライルから欧州勢の4連勝となった

彼らの目標は、世界のメジャーを制することだった。まずセベが1980、83年にマスターズで優勝。その後のマスターズでも、ランガー(85、93年)、ライル(88年)、ファルド(89、90、96年)、ウーズナム(91年)と続けざまに優勝するなど大活躍し、欧州勢の強さを見せつけた。ちょうど1957、58年生まれの選手たちである。

彼らによって、欧州ツアーが蘇ったことは言うまでもない。(文・三田村昌鳳)

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