月刊ゴルフダイジェストの好評連載「振り子の教室」。パットにまつわるさまざまな疑問や悩みをパット研究家の星谷孝幸先生が科学的な視点で解説してくれます。
今回のテーマは「イップス」。プロや上級者に多いとされる手が動かなくなる症状ですが、決して他人事ではないとのこと。さっそくほしや先生の見解と予防策を聞いてみましょう!

Q
短いパットで緊張してスムーズに
動かない。どうすればいい?

A
「入れる」という言葉を
自分の辞書から消してください

入らなくて「当然」
入れば「ラッキー」

緊張した場面で手が動かなくなる「イップス」。プロや競技志向のゴルファーには、珍しくないゴルフの病です。イップスになる人には、大概ひとつのプロセスがあります。

①目の前パットに対して「入れなきゃ」「入れたい」と思う

②それによってカップを直線的に強く狙いがち

③外して大オーバー

④返しのパットにナーバスになる

⑤それも外すようになりパットに恐怖心が芽生える

という具合です。恐怖心が芽生えると、打つ瞬間に脳が拒絶反応を示します。最初は動きがぎくしゃくする程度ですが、次第に動かなくなり、それを無理に動かそうとしてありえないほど強く打ってしまう、ということになります。

画像: イップスに罹ったベルンハルト・ランガーは右手でシャフトと左腕をつかむスタイルでイップスを克服。1993年に2度目のマスターズ制覇を果たした

イップスに罹ったベルンハルト・ランガーは右手でシャフトと左腕をつかむスタイルでイップスを克服。1993年に2度目のマスターズ制覇を果たした

その治療法としては2つのアプローチがあります。

ひとつは“メンタル”。往々にしてイップスの人は、ストイックな面があり、自分に厳しい。パットに対しても「入れる」あるいは「入れなきゃ」という発想になりがちです。そういう方に対して、私は、パットは「入っちゃった」でいい、とお伝えしています。

そもそもグリーンは、日々刻々と変化します。朝と午後では芝の状態も大きく変わる。不確かなものにきっちり対応して、入れ続けることなど到底不可能。たとえ1㍍に満たない距離であってもです。

ですから、「入れる」ではなく「入っちゃった」。それに「入っちゃった」というのは、なにか嬉しいラッキーな感じがしませんか? まずは、そこから始めましょう。

画像: 入ったら常に「ラッキー!」と考える。ロボットが1メートルの距離を打っても、百発百中とはいかない。グリーン面やボールのディンプルの影響など外れる要素はいっぱいある

入ったら常に「ラッキー!」と考える。ロボットが1メートルの距離を打っても、百発百中とはいかない。グリーン面やボールのディンプルの影響など外れる要素はいっぱいある

“入れる”練習ばかり
していませんか?

もうひとつは、練習法からのアプローチ。イップスの人は、パットの練習も真面目にやっていることが多いのですが、その方法を聞くと、カップに「入れる」ことが目的になっているようです。

「10球連続で入れる」という練習を否定するわけではありませんが、入れることが目的だと、10球の強さがバラバラでも入ればOKとなります。しかし、それでは本番で大オーバーを招くことも。そうではなく、小さなボタンぐらいの目標を作り、いかにその近くに止めるかという練習をすることです。

メンタルと練習法。この2つを念頭にパットすると、イップス解消に近づくはずです。

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