“5、7、10”がプラスの報酬

でも毎週基本給の10万円だけじゃ、実際食っていくのは厳しいよな。もちろんそこにプラスアルファの報酬が出てくる。予選を通過するとプロには賞金が入ってくる。その賞金の何パーセントかをキャディがもらえるわけだ。頑張ってバッグを担いでプロをサポートした分の見返りの報酬だわな。

「5、7、10」(ゴーナナジュー)という数字があって、予選を通過したら賞金の5パーセントが懐に入る。まずは予選を通過させたことでの報酬ってわけだ。トップ10に入ったら賞金の7パーセント。だいたいトップ10に入れば選手に400万円近く入るから、キャディは最低でも30万円近い報酬が手に入る。

画像: 試合前日、キャディのつけるポンチョが整然と並ぶ

試合前日、キャディのつけるポンチョが整然と並ぶ

そしてもうわかるよな。そう、優勝したら賞金の10パーセントってことになるんだ。つまり優勝賞金が4000万円だったらいきなり400万円ゲット! というわけ。年間2、3勝しているプロのキャディは1000万円近く稼いでいることになるわな。そこいらのサラリーマンよりよっぽど収入がいいよ。まあ翌年の税金が大変になっちゃうけど(笑)

でもこのプラスアルファがあるから、みんな頑張って過酷な仕事をやっているというところもあるんだ。そういう意味でも「いかにいい選手につけるかどうか」が年間の収入額を左右するわけだ。「どれだけいい馬に乗るかを考えるジョッキーみたいなもんだよ」って言っていたキャディもいたっけな。勝ち馬をどのように探すのか?

勝ち馬をどのように探すのか?

じゃあ、キャディはどのように担ぐプロを探すのか?中には年間で同じプロと契約している選手もいる。2012年の賞金王・藤田寛之プロはもう10年以上も梅原キャディとタッグを組んでいたのは有名な話(編集部注:2013シーズン限りでコンビを解消)。

でもほとんどのキャディは、週ごとの単発でプロと契約をすることになる。契約と言っても文章があるわけでなく、上に書いてきたような基本給のもとに口約束で「じゃあ来週お願い」みたいな形でタッグを組むことになっているのだ。「来週空いてる?」などと選手から声をかけることもあれば、
「この週担がせてくれないですかね?」とキャディから営業をかけることもある。

キャディ同士のネットワークというのもあって、“○○プロがキャディを探している”という情報を共有して、そのプロにキャディを斡旋するということもある。キャディになるには特別資格などはいらず、ゴルフだって別に100を切れなくたって担げる。

画像: イ・ボミが絶大な信頼を置く清水重憲キャディ

イ・ボミが絶大な信頼を置く清水重憲キャディ

ただ誰でもキャディになれるわけじゃなく、最初はやはり知り合いのプロのバッグを担ぐところから
この世界に入ってくるのがほとんどだ。学生時代にキャディのバイトをして、そこから担ぎ始めるというケースもけっこう多いみたいだ。

キャディの一番の仕事はラインを読むことではなく「空気を読むこと」。プロを取り巻く空気を読んで、いかにその空気を乱すことなくプロのモチベーションを持続させられるかどうかが大事になる。そして流れが悪ければ空気を換えてあげることも必要だ。空気の扱いの上手いキャディが、一流のキャディと言えるんじゃないかな。

ここまで読んで、俺もキャディをやってみたい!ってやつはいるかな? 仕事は過酷だけど、でもやっぱりあのフェアウェイのど真ん中をプロと一緒に歩けるってのはカッコいいよ。

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