バックスウィングとダウンスウィングの呼吸パターンを様々に変えてみる。そうするとショットの内容がどう変化するのか?考えられる限りの実験を試みた。前回は「息を止めた場合」を検証した。

今回は、「息を強く吐いた場合」を検証した。

実験指導/白石豊(福島大学助教授・当時)
実験アドバイス/平山昌弘(当時)
試打/冨永浩プロ

グレッグ・ノーマン(94年当時)
豪快なスウィングが持ち味で力強いインパクトが印象的

バックスウィング細長く吸って、強く吐いて打つと・・・

富永プロ曰く、「フォローで滑らかな感じがしないけど、インパクトでは“感じが出る”から飛ばしにかかるときはいいかも・・・」と好感触な様子。しかし、ヘッドスピードは上がっているものの、飛距離アップには繋がっていないという結果に。打ちやすそうではあったが、効率がいいとは言えなかった。

スタートで静かに吸い、トップで止めてから強く吐いて打つと・・・

“インパクトで強く吐く”という条件は同じだが、富永プロは「スウィングの流れが途切れてしまい、力みが入る」という感想。ショットもスライス、フック、スライスの乱れ打ちだった。

トップで急激に吸い、インパクトで強く吐くと・・・

先ほどの「トップで止めてから強く吐いて打つ」場合と同様に、ショットが乱れた。「トップで吸った時に上体が浮いて、インパクトで吐こうとしたときに沈むので、上下動が出てくる」(富永プロ)

スタートで急激に吸い、インパクトで強く吐くと・・・

「まったく自分のタイミングではないし、最初から最後まで力んだ感じになる」(富永プロ)と言うように、スウィングテンポが速くなった。ショットもバラバラという結果になった。

前回同様、この結果を踏まえて3人に対談してもらった。

強く吐く(強く打つ)ほど感受性が弱まる

画像: 左から富永プロ、白石教授、平山トレーナー

左から富永プロ、白石教授、平山トレーナー

―――この課題は、見た目にも非常にダイナミックに見えたし、飛距離も出ましたが球筋が乱れましたね。

富永プロ 強く打てましたが、フォローが出る感じはありませんでしたね。ヘッドの重みも感じにくいし、クラブコントロールが難しいかったですね。

白石教授 グリップをギュッと握ってしまうと、ヘッドの重みや動きを感じられなくなるというセオリーと共通している部分があるんでしょうね。

富永プロ 確かに強く吐こうとしたときに、手に力が入っているはずです。

白石教授 富永プロがフォローで感覚がなくなったのは、要するに、インパクトの刺激が強すぎたためなんです。「刺激を感じられる量は刺激の量に反比例する」という法則があって、感受性を高め、内的な気づきを高めたかったら、刺激は落とした方がいいんです。

平山トレーナー 僕はよくプロに目をつむって素振りをしてもらうんです。その方が目が開いて素振りをするよりもヘッドの動き、フェースの向きが分かるとプロはいいますからね。つまり視覚情報を遮断することでかえって内部感覚が研ぎ澄まされるということなんです。

白石教授 私は選手たちにヨガを使って「体と対話しなさい。自分の体が発する信号に気がつきなさい」と指導しているわけですが、実際にヨガをやって驚いたのが、あんなにゆっくりした動きの中に、実は内的な気づきをもたらす物凄い情報量があることなんです。エアロビクスのような飛んだり跳ねたりの激しい運動では、それをまったく得られません。

―――強く吐こう、打とうすると、“力み”が生じて、自分がどんなスウィングをしているのか分からなくなるわけですね。

飯合肇プロ(1997年当時)
飛ばし屋である“コング”のスウィングからは、“力み”が感じられず、むしろ落ち着いているように見える

白石教授 そのとおりです。スウィングやクラブのコントロールに対する感受性が落ちているということは、ボールのバラつきからも明らかですね。

平山トレーナー 呼吸パターン自体も、自分自身でコントロール出来なくなってきましたね。

白石教授 だからプロは本能的に急なテンポで、インパクトを強調したスウィングになったということですね。

富永プロ 確かにその通りです・・・

今回の「息を強く吐いて打つ」という課題は、スウィングテンポを狂わせ、出球がバラつくという結果になりました。

次回は「細長く吐いて打つ」という課題で、検証を行いましたので、ご紹介します。

※チョイス No.100より

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