「アマチュアの多くは曲がるラインのパットを打つ際、自分でも気がつかないうちに『構え方』が変化しています。これが狙ったところに打てない理由なのです」とお馴染みのパット研究家・濱部浩一教授は言う。具体的にはどういうことか。そしてその対処法とは。スライスラインとフックラインを分けて詳しく解説してもらった。

フックラインの場合は上体が浮きやすい

アマチュアの多くは、平地と同じように立っているつもりでも、傾斜地に立つと構えが狂います。下に掲載した図1を見て下さい。黒線の人物シルエットが平地での構え。黒のラインが地面(水平線)です。そして緑のラインがつま先上がり傾斜地面です。そのつま先上がり傾斜で「自然=無意識」に構えると赤のシルエットの構えになりやすいのです。

画像: 図1.つま先が上がる分構えがかかと重心になりやすい。だからイメージと違うパットになってしまうのだ!

図1.つま先が上がる分構えがかかと重心になりやすい。だからイメージと違うパットになってしまうのだ!

つま先上がりの傾斜地、すなわちフックラインを打つ際、「いつもと同じ」ように構えているつもりでも、いつの間にか上体起き、かかと体重になってボールとの距離が離れ、シャフトプレーンがフラットになってしまう。結果、左に行きやすいから、アマチュアライン(ターゲットに対し低いサイド)に外してしまうのです。

反対に、つま先下がりのライ(スライスライン)では、足首にかかる負荷や全身のバランスを保とうとすることから、本人が意図しなくても、つま先体重の前のめり姿勢になります。また、爪先側(ボールの位置)が平地のときより低いということは、通常の構えをすると目とボールとの距離が遠くになるということです。人間の感覚センサーはかなり優秀ですので、いつもより目とボールとの距離が異なる(遠くなる)と違和感を持ちます。

そして、目とボールとの距離をいつもの平地の時と同じ距離に保とうとするので、この場合、自然と前傾が大きく(身体が屈む)なり、ボールの近くに立つ構えになってしまいます。下に掲載した図2の赤線のシルエットが、スライスラインで陥りやすい“構え方のミス”。結果的には、フックラインの場合とは逆に、右に外れるミスが増えるというわけです。

画像: 図2.つま先下がりでは赤線のように構えがち。これだと右に外れやすい

図2.つま先下がりでは赤線のように構えがち。これだと右に外れやすい

問題はここです。

そうするとシャフトプレーンが平地よりアップライトになり、その分だけパターを吊るような構え方になります。すると、パターの構造上ロフトの影響で、ボールが右に行きやすくなります(ロフトゼロのパターを使用するか、ハンドファーストでロフトを相殺するなら話は別)。

つまり、本来の「読み」のイメージより右に行きやすくなるので、アマチュアサイドに大きく外す確率が高くなります。ひどい場合はカップに触れもしません。

また、シャフトプレーンが普段(平地)と異なれば、重力の影響も受け、ストロークの感覚も当然変わってきます。つまり、普段通りのストロークができなくなり、フィーリングもかなり狂ってくるのです。こんな状態でパットが入るわけないですよね。

平地と同じ構えになるように“トウ”を浮かせることが必要

ではどうすればいいのか。対処法を図3に示しました。

黒のシルエットがいつもの平地での構え。赤のシルエットが傾斜地で陥りやすい間違った構え。ブルーが修正した正しい構えです。

画像: 図3.正解の青のシルエットを見てみよう。ひざを曲げることでトウを浮かせて構えるのが「平地と同じ」構えに相当する

図3.正解の青のシルエットを見てみよう。ひざを曲げることでトウを浮かせて構えるのが「平地と同じ」構えに相当する

1.足首、足裏に注意して前のめりにならないよう地球に対してバランス良く立ちます。そして平地での前傾姿勢、シャフトプレーンを思い出し、その感覚を維持して構えてみます。うまく平地と同様に構えると傾斜の分だけヘッドが地面から浮いた状態となります。

2.この前傾姿勢、シャフトプレーン角を維持したまま、ソールできる位置まで膝を曲げていき、構えをとります。結果としてアドレスした際にトウが浮いた状態に見えますが、これが正しい平地と同様の構え方になります。

ひざを曲げなくてもパターを長く持てばソールできますが、バランスの関係でフィーリングが変わるのでパターは長く持ちません。また、もしパターを長く持つなら目とボールとの距離が遠くなるので違和感が残ります。

フックラインはライと平行に合わせて構えてはダメ

続いてフックラインです。図4を見て下さい。黒のシルエットがいつもの平地での構え。赤のシルエットが傾斜地で陥りやすい間違った構え。ブルーが修正した正しい構えです。

画像: 図4.傾斜に対してフィットするようにソールしてないだろうか?

図4.傾斜に対してフィットするようにソールしてないだろうか?

1.足首、足裏に注意して前傾が浅くならないよう地球に対してバランス良く立ちます。そして平地での前傾姿勢、シャフトプレーンを維持して構えてみます。このときグリップはゆるめておき、一時的に短く持つ感じになります。ボールからも離れすぎないよう注意します。

2.ひざに未だ伸ばせる要素があるのなら、この前傾姿勢、シャフトプレーン角を維持したまま、グリップがいつもの場所に来るまでひざを伸ばして調整します。結果としてアドレスした際にヒールが浮いた状態になりますが、これが正しい平地と同様の構え方になります。

※ひざを伸ばしても前傾姿勢とシャフトプレーンが維持できない場合、少しだけ前傾角を起こして調整します。パターを0.5~1インチほど短く持つのも許容範囲です。

【まとめ】
1.スライスラインもフックラインもシャフトプレーンがいつもどおりになるように膝の曲げ伸ばしで調整する。
2.フックラインでパターを若干短く持つことはあってもスライスラインで長く持つことはない。
3.スライスラインではトウが浮く構え、フックラインではヒールが浮く構え、これが正解。

傾斜地のパットは、曲がるから難しいだけでなく、構えた段階で右、あるいは左に行きやすい状態になっているから、より難しく感じるのです。正しい構え方を知って、曲がるラインを攻略してくださいね!

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