パットを科学的に研究し、星谷孝幸先生によれば、首の付け根と手首のふたつを支点とした“2支点振り子ストローク”がもっとも転がりが良く、精度が高いのだという。では、それをどうすれば実現できるのか。スマッシュヒット中の新書「入っちゃう! パットの法則」から、今回は、下半身の動きから紐解いていこう。

ひざを左右に動かしヘッドの動きを安定させる

2支点振り子ストロークは、下半身の動きにもコツがあります。

実は、「下半身のスウェイ」を入れることで、よりストレートの軌道を描けるようになるのです。

私は、パターヘッドがよりストレートに動くためには、パターの重心が振り子のように動くのを感じながら、自分の重心もひざを使って左右に動かし、体のエネルギーをしっかりボールに伝えるべきだと考えました。

実は、パットで悩んでいる、あるいはイップスを自認している人ほど、下半身をどっしりとさせて、体を動かさずにヘッドだけを真っすぐ動かす傾向があります。しかし、「体を動かすまい」という意識だけで、ボールに伝わるエネルギーは簡単に2~3割減ります。しかも、肩の動きだけで打つので、ヘッド軌道が円弧を描いてしまいます。

しかし、体の中で一番大きな筋肉である大腿筋、つまり太ももの筋肉を使って体重移動すれば、ヘッドの動きが安定しヘッドが描く弧も緩やかになるので、インパクトゾーンが直線近くなるのです。

さらに、体重を左に乗せながら打つので、エネルギーの伝達効率が高まります。つまり、小さなテークバックで大きな距離を出せるわけですから、その面でもヘッドのブレを小さくでき、距離感も方向性も良くなる効果があるのです。

体重移動を使ってストロークすれば、手先で真っすぐ動かそうとするよりもはるかに正確に同じ軌道を動きます。また、バックスウィング「1」に対して、フォローは「2」の大きさを意識するようにストロークすれば、ボールを押し出す力がさらに安定して、距離感と方向性がより正確になります。

画像: ひざを左右に動かすことで、自分の重心が左右に動く。パターヘッドは手を動かそうとしなくてもそれにつられて左右に動き出す

ひざを左右に動かすことで、自分の重心が左右に動く。パターヘッドは手を動かそうとしなくてもそれにつられて左右に動き出す

この動きが、カーリングの動きです。極めて正確な方向性が要求させるカーリングでも、自分が同じ方向に動きながらストーンを投じていますよね。もし、人間が動かずに投げようとしたら、あれほど正確な方向性は生まれないはずです。

「体を動かさない」という気持ちから離れる

極論すれば、どんなプロでも体重移動しています。本人たちは意識していないかもしれませんが、圧力計の上に乗って計測すれば明らかです。約5キロの腕と500グラム程度のパターが左右に揺れ動くわけですから、それにつられて重心も右に左に移動している。リラックスして振れば、体重移動は起こって当然なのです。

もし、体重移動しないようにするとどうなるでしょう。テークバックでは左に、ダウンスウィング以降は右に残るような体の使い方になり、エネルギーの伝達効率が悪くなってしまいます。

体重移動は、長い距離、短い距離に関係なく行ってください。打つときは手や腕でパターを振らず、手を小さくゆっくり動かすようにします。そのためには、両ひじを体(両わき腹)に付けておく必要があります。手が体から離れたり、腕が伸びる構えで体重移動してしまうと、大きなエネルギーが動きすぎて、今度はコントロールできなくなってしまいます。ショットでは、「下半身から動かして打つ」というレッスンに異を唱えるプロはそういません。これは、パットでも同じです。

画像: ヘッドの重心が真っすぐ動けば、ボールもその方向に出ていくのが原則。下半身の動きをプラスすることで、よりヘッドの運動方向がストレートになる

ヘッドの重心が真っすぐ動けば、ボールもその方向に出ていくのが原則。下半身の動きをプラスすることで、よりヘッドの運動方向がストレートになる

体重移動すれば、不変の力である重力を味方に付け、パットの精度は上がります。ストロークにリズムが生まれ、結果的にインパクトで緩んだりパンチが入ったりするようなこともなくなるのです。

「入っちゃう! パットの法則」(ゴルフダイジェスト新書)より

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