2017年の「日本オープン」を制した池田勇太。2位と5打差の首位からのスタートだったが、ティショットで2つのOBを打つなどショットは乱調。それでも勝利を手放さなかった大きな要因は、要所でチップインを決めるなど冴えを見せた“小技力”。池田勇太を攻守に支えるアプローチテクニックを、プロゴルファー・中村修が解説!

腹筋を使うから、軟らかく振ってもゆるまない

最終日、ショットが乱調の中で、勝負所でのアプローチの技術が光った池田勇太プロ。6番パー4ではチップインバーディを奪い、ティショットを右に曲げ2打目もグリーン手前のラフに外した17番ホールではフワッと浮かせたロブショットで見事にパーをセーブし、金谷拓実選手のアマチュア優勝の快挙を阻止。プロの面目を果たしました。

では、薄氷の勝利を支えた池田勇太プロのアプローチは、どこが優れているのでしょうか。技術的に一言でいうならば、それは“ゆるみがない”ということになります。

ラフからのロブショットではヘッドスピードを一定にして大きく振ることで高く上げ、ピッチ&ランでは小さく振ってしっかりとフェースとボールをコンタクトさせる。どのようなショットでも、スウィングにゆるみが一切ありません。

ポイントはクラブを“腹筋で振っている”ということ。アマチュアゴルファーのみなさんもアプローチではサンドウェッジを使うことが多いと思いますが、腕や手の力だけで振ってしまうと、パターを除いた11本のクラブの中でもっとも重量のあるクラブであるサンドウェッジは、スウィングの途中でヘッドの重さに負けてゆるんでダフったり、それを防ごうとしてインパクトで強く入ったりしてしまいがちです。

池田プロの場合、手先ではなく腹筋でクラブを振っている。だから、大きく振っても、小さく振ってもゆるみがない。ゆるみがないから、思った通りにクラブの速度をコントロールでき、結果、タッチが合うということになるのです。

下の写真は2017年の「全米オープン」でのアプローチショットですが。グリップエンドがおへそを向いているのがわかるでしょうか。この写真からは、これだけ小さな振り幅でも、しっかりと腹筋を使ってクラブを押し込んでいるのが見て取れます。

画像: 小さなスウィングでもしっかりと腹筋を使ってクラブをコントロールしている

小さなスウィングでもしっかりと腹筋を使ってクラブをコントロールしている

手打ちにならずに寄せようと思ったら、このように小さいスウィングでもしっかりと腹筋を使ったスウィングをイメージすることが重要です。

たとえばダウンスウィングの際、ヘッドに引っかけたヒモをターゲット後方から引っ張られているイメージを持ってみましょう。引っ張られる力に負けずにクラブを下ろそうと思ったら、手先ではなく、腹筋の力を使う必要があるのがわかるでしょうか。実際にクラブにヒモを引っかけ、誰かに引っ張ってもらうのも、池田プロのアプローチ感覚を体感する良い方法。

日本オープンでは不調でしたが、今季大きく飛距離を伸ばした池田プロ。仮にドライバーが不調でもそれを補うアプローチ力がある限り、賞金王レースを最後まで盛り上げてくれることは間違いがないと思います。

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