街の練習場をふらっと訪ね、そこでレッスンを展開しているプロに、独自の理論を教えてもらう「レッスン散歩」。今回は、東京都世田谷区のティンバーゴルフで教える中光夫プロが登場。アマチュアのミスは、トップからの「急加速」が原因だという中プロに、切り返しの奥義を教えてもらった!

トップからいきなり加速させるとフェースが開いてしまうのだ

東急大井町線から目黒通りを500メートルほど進み、少し入った住宅街のただ中に、今回訪れた練習場「ティンバーゴルフ」はある。打席数は24。距離は40ヤード。地元のゴルファーたちが集う、アットホームな雰囲気のレンジだ。

そこでレッスンを展開する中光夫プロは、高校時代の東尾理子を指導するなど、長きにわたりレッスンの現場で活躍するベテランプロ。積み重ねてきた年輪を思わせる穏やかな佇まいだが、自身の理論を熱く語る口調からはゴルフスウィングにかける衰えを知らない情熱が見てとれる。

多くのゴルファーを指導してきたその経験から、中プロは「トップからの切り返しで、一気に加速させようとするのがアマチュアが大きくミスする理由」だと語ってくれた。世田谷の名伯楽のゴルフ理論、しかと聞かせていただこう。

「トップの位置でヘッドはターゲット方向を向いていますよね。その状態から一気に加速させようとすると、クラブが寝てしまい、インパクトでは振り遅れて、フェースが開いてしまいます。もしくは、上半身が開きクラブが外から入りカット軌道になることもあるんです」(中)

画像: トップからの切り返しで一気に力を入れると振り遅れてインサイドアウトが強くなるミスや(写真左)、上半身が開いてアウトサイドインのカット軌道になるミス(写真右)になりやすい

トップからの切り返しで一気に力を入れると振り遅れてインサイドアウトが強くなるミスや(写真左)、上半身が開いてアウトサイドインのカット軌道になるミス(写真右)になりやすい

中プロによれば、ヘッドがターゲット方向を向いている状態で加速させると、正しいところにヘッドが下りてきにくくなるのだという。なので、トップから切り返し初期ではクラブを加速させず、ヘッドがボールの方向まで下りてきたタイミングから加速させるべきだと主張する。

「具体的には、クラブを加速させるのはクラブが地面と平行になるところから加速させる。これが、ナイスショットの最大の秘訣なんです」(中)

というわけで、そのやり方をさらに詳しく聞いていこう。

クラブを加速させるのは「10時過ぎ」から

「グリップエンドを持って、クラブを振り子のように動かしてみてください。インパクトに向けて、ヘッドを効率よく加速させようと思ったら、力を入れるポイントは反時計回りで10時を過ぎたあたりからであることがわかると思います。ヘッドが目標方向に向いているトップの位置から一気に力を入れてもきれいな軌道でスムーズにクラブを動かせません」(中)

画像: トップの位置(写真左)からクラブが時計の針でいう「10時過ぎ」まで下りてきてから(写真中)加速させることがポイント

トップの位置(写真左)からクラブが時計の針でいう「10時過ぎ」まで下りてきてから(写真中)加速させることがポイント

なるほど、たしかに、ブランコなどでも力強く漕ごうと思ったら、力を入れるのは軌道の頂点ではなく、そこから少し下りてきたあたり。まずはヘッドが動きたい方向に動くのを待ち、そのあとで力を加えてあげるのが正解というのは、なんとなくイメージできる気がする。

中プロいわく、これができればクラブが正しい軌道に下りてきて、振り遅れることもなく、スクェアなインパクトを迎えられる可能性が増えるのだという。ならば、次に知りたいのはどうすればそのような振り方が身につくのかということだ。

「この感覚を身につけるためのドリルをご紹介します。トップの位置までクラブを上げたら、一度クラブが地面と平行になる位置までゆっくり下ろし、そこから再度トップの位置に戻してからフィニッシュまで振りきる素振りをしてみてください。そうするとスウィング中のどのあたりで加速させるのがもっとも効率がいいか、スウィング中に力を入れるポイントが身に付きます」(中)

腕っぷしだけなら一般男性のほうが上のはずなのに、女子プロゴルファーのほうが遠くに飛ばせたりするのも、案外このあたりに理由があるのかも。クラブを振り上げると、その反動を使ってついつい「えいっ!」と力一杯クラブを振り下ろしたくなるもの。しかし、クラブがしかるべき場所に降りてくるまで、一旦ググっと我慢すること。これがとっても大切だったのだ。

街の練習場には、キラリと輝くレッスンがある。中プロに、そのことを改めて教えてもらった。

画像: 中光夫(なか・みつお)、86年プロ入会A級インストラクター。東尾理子の高校時代にスウィングを指導。東尾がアマチュアで出場した全米女子オープンではキャディを務めたことも。世田谷区等々力のティンバーゴルフでレッスン中

中光夫(なか・みつお)、86年プロ入会A級インストラクター。東尾理子の高校時代にスウィングを指導。東尾がアマチュアで出場した全米女子オープンではキャディを務めたことも。世田谷区等々力のティンバーゴルフでレッスン中

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