テンポがよく、美しい。キム・ハヌルのスウィングを形容する言葉だ。しかし2017年は、そこに“力強さ”が加わり、昨年までとはインパクトの精度が変わったと本人が言うほど進化している。初の賞金女王タイトルが目前に迫っているハヌルのスウィングの秘密に迫る!

いいタイミングを作ることが練習の目的

ーースウィングの中でもっとも大切にしている部分は?

「トップからインパクトの動きには自信を持っています」(キム・ハヌル、以下同)

ーー切り返しということ?

「そうです。クラブが上から下りてくるタイミングを一番大事にしています。ミスが出るときは、タイミングがずれているとき。体が開いて右にミスが出ることが多いです。昨年まではこのようなミスが多かったのですが、今年は、インパクトでいつもフェースがスクェアになるようなタイミングで打てています」

ーータイミングが合うときと合わないときの差は?

「トップが決まるかどうかですね。左肩がしっかり回って深く捻転できていると、切り返しで『間』ができます。この『間』がよいリズムとタイミングを生み出します」

画像: 左肩をあごの下に入れたら打ち急ぎが消えた

左肩をあごの下に入れたら打ち急ぎが消えた

ーー切り返しのタイミングが合うと結果として何がよくなるんですか?

「インパクトでフェースがスクェアに戻りやすいので、いつも同じ打点で打つことができます。つまりミート率が上がるのです。昨年よりも、左右のブレ幅が狭くなりました」

ーートップが決まるとは具体的にどういう状態のこと?

「この形になればいいというものではなく、あくまでも感覚的なものです」

ーーでは、トップが決まらないというのはトップが浅いという解釈で大丈夫ですか?

「そうです。左肩の入りが浅いまま(クラブが上がりきる前に)クラブを下ろすから、タイミングが早くなるわけです。これは、ドライバーだけではなく、すべてのショットに通じるもので、私がスウィングで意識しているのは、この切り返しだけと言っても決して大げさではありませんよ」

画像: 左肩の入りが浅い(写真左)ままクラブを下ろすと胸が開き(写真右)、振り遅れてインパクトのフェースも開いてしまう。結果、右へのミスになる。

左肩の入りが浅い(写真左)ままクラブを下ろすと胸が開き(写真右)、振り遅れてインパクトのフェースも開いてしまう。結果、右へのミスになる。

踏み込みで一瞬クラブを遅らせる

ーーでは、どうすれば「間」ができるのでしょうか?

「左肩がしっかり入ったトップができたら、左足で地面を押すように踏み込んでいきます。そのときに、自然にクラブが一瞬遅れて『間』ができるんですよ」

ーー体重を左へ移していくということですか?

「そうです。ただ、注意しなければいけないことは、体が流れてしまわないこと。体が左へ流れると、上体が突っ込み、上半身の力を多く使ってしまいます。踏み込んだら、しっかりと踏ん張り、下半身で『間』を作ってあげることが大切です」

画像: トップができたら写真のように左足で地面を強く踏んで切り返す。体が流れないように、踏み込んだその場で回転する意識を持っている

トップができたら写真のように左足で地面を強く踏んで切り返す。体が流れないように、踏み込んだその場で回転する意識を持っている

この記事は、発売中の週刊ゴルフダイジェスト2017年11/7号の特集「キム・ハヌル『考えるのは切り返しだけ!』」の一部を抜粋。2017年の賞金女王ランクで首位を走るキム・ハヌルに好調の要因を聞いてみた。トップでの「間」しっかりと取れていますか?

写真/三木崇徳

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