すべてのホールをパーオンして2パットであがれば、スコアの半分はパット数。そのパットを科学的に研究している星谷孝幸先生は「法則さえ知っていれば、パットは簡単に入っちゃうんです」と話し、その極意は「2支点振り子ストローク」にあるという。スマッシュヒット中の新書『入っちゃう! パットの法則』から、そのエッセンスを紹介!

ボールの転がりをしっかり観察する

「パットのセンスがない......」と悩むアマチュアの方がいますが、パットにはセンスは必要ありません。それよりも、観察が大切。打った後にボールの動きを目で追うことは、芯でヒットするために大切だと言いましたが、それだけでなく、距離感にも影響してくるからです。

打った後もボールがあった位置をじっくり見続けている人がいますが、実は自分の打ったボールの転がり方を観察し、毎回しっかり頭の中でインプットしているかが、距離感のある人、ない人の違いと言っても過言ではありません。

パットというのは、残念ながら普段から練習している人は中々いません。ですから、長い距離を打つことができる実際のコースや練習グリーンで、しっかりと距離感を磨く必要があります。そのためには、打ったボールがどう転がり、どう減速していくかといったことをよく観察すること。そして、記憶の貯蔵庫に蓄積する必要があります。

例えば、野球のピッチャーなら、自分の持っているボールを見ながら投げませんよね。キャッチャーミットを見ながら投げています。パットでも、常にボールがどうやって進んでいくのか見ることで、「次はもう少し大きく振ろう」というように学習していくことができるのです。

じっと下を向いたままでは、情報はいつまで経っても溜まっていきません。イ・ボミ選手のパットを見てみてください。ボールをインパクトしながら、顔を左に向けて転がっていくボールを見つめているはずです。

画像: インパクト後、ボールの転がりを目で追うイ・ボミ(2017年サロンパスレディス)

インパクト後、ボールの転がりを目で追うイ・ボミ(2017年サロンパスレディス)

「タップ式」のパットは距離感が合いづらい

そうは言っても、なかなか狙った距離を打つヘッドとボールのスピード感をイメージできない方もいるでしょう。そういう方は、もしかしたら打ち方に問題があるかもしれません。インパクトで当てて終わりでフォローはほとんど取らない、いわゆる「タップ式」のパットになっていないでしょうか。

タップ式でも、青木功プロのように突出した感性と練習量があればインパクトの強弱で距離感が出せますが、回転方向や回転スピードのバラつき、摩擦力の強弱など、タップ式には物理的に多くの不安定要素があり、距離を合わせるのが難しいといえます。

また、パットは、打つ距離に対してヒットする強さが一定であることが原則で、ヘッドスピードとボールのスピード感がイメージできるかが重要ですが、タップ式では、腕力を主体に振ってしまう場合があり、リズムが一定にならず当然距離も安定しません。すると、正しい情報が蓄積されず、ヘッドスピードとボールのスピード感がイメージしにくい。その結果、距離感がいつまで経っても身に付かないという悪循環に陥ってしまうのです。

画像: 藤田寛之プロのようにカップを見たまま素振りを繰り返すことによって、目の左右差がなくなり、より距離感が鮮明になる

藤田寛之プロのようにカップを見たまま素振りを繰り返すことによって、目の左右差がなくなり、より距離感が鮮明になる

重力を利用する2支点縦振り子ストロークなら、常に一定の強さとリズムを保つことができるので、スピード感もイメージしやすく、距離感を調整しやすい。この点から考えても、2支点縦振り子ストロークがいかに理にかなっているかがわかると思います。

距離感をつかむためには、ボールの行方を追って情報を収集すること、振り子をイメージして振ること、この二つは欠かすことができない「約束」だということを覚えておいてください。そして、打つ前の素振りを少し工夫すると、もっと効果的ですよ!

「入っちゃう! パットの法則」(ゴルフダイジェスト新書)より

写真/大澤進二、岡沢裕行

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