2017年のダンロップフェニックス最終日にホールインワンを達成した松山英樹。2位に9打差をつけて圧勝したブルックス・ケプカ。大会を大いに盛り上げた両者を支えた知られざる存在、それが会場であるフェニックスCCのレストランだ。世界基準のプレーを支えたニッポンの“おもてなし”の心を取材した。

松山は鮭のおにぎりを連日オーダー

「実は、2年前に来場された時に、鮭のおにぎりをオーダーされていたんです。それで、今年も鮭のおにぎりを用意して、松山プロをお待ちしていました」

そう語るのは、フェニックスCCのレストランのスタッフの原口結衣(ゆい)さんだ。

2015年のダンロップフェニックス。松山英樹は、トーナメント期間中、ラウンド中に食べられる軽食としてレストランにおにぎりをオーダー。その際、いくつかある具の中から鮭を気に入り、連日ハーフターンのタイミングで鮭おにぎりを6個、スタッフを通じて手に入れていた。

原口さんは、2年間そのことを忘れていなかった。迎えた2017年、2年ぶりに松山が出場すると聞きつけると、きっとまたおにぎりをオーダーしに来るはずと考えて、用意周到に鮭のおにぎりを用意して、世界ランク4位にまでなった日本のエースを待ち受けた。そして狙いどおり、松山はおにぎりを所望する。

画像: 松山のハーフターンを見計らい、レストランでは鮭のおにぎりを用意した

松山のハーフターンを見計らい、レストランでは鮭のおにぎりを用意した

それから連日、松山のスタート時間からハーフターンのタイミングを計算し、トーナメント期間中はつねにタイミング良く握りたてのおにぎりが常に6個、手に渡るように工夫。

具の鮭はその都度香ばしく焼き上げて炊きたてのごはんに混ぜ、海苔で巻くか否かを関係者を通じて確認しつつ、“松山好み”に仕上げたというから徹底している。ちなみに、このメニューは松山専用の“裏メニュー”だ。

その松山は、最終日に3番ホールでホールインワンを達成。連日おにぎりを受け取りに来た関係者は、「鮭おにぎりのおかげです」と一週間の感謝を伝えたという。「選手の方に喜んでもらうがなにより嬉しいんです」と原口さん。

ケプカが毎日食べた「ケプカ丼」

今年はもうひとつ、エピソードが生まれている。優勝したブルックス・ケプカは、火曜日にコースに入ると、優勝を決めた日曜日まで、なんと6日間連続で“あるメニュー”をオーダー。

それが、コースの看板メニューである「宮崎牛の牛丼」。優勝副賞として宮崎牛1年分を手にし、勝利者インタビューでは「新しい冷蔵庫を買わなくてはいけませんね」と会場を笑わせたケプカだが、実際に宮崎牛が大好物なのだ。

画像: 名物「宮崎牛の牛丼」。このメニューが、ケプカの胃袋をガッチリつかんだ

名物「宮崎牛の牛丼」。このメニューが、ケプカの胃袋をガッチリつかんだ

「牛丼は卵とじにしてあるのですが、ケプカ選手は毎回卵抜きをオーダー。昨年、優勝を決めた後にレストランで牛丼を召し上がっていただいたので、今年はその時の席を“予約席”にしておいたら、やっぱりケプカ選手が表彰式の後にお見えになったので、その席にご案内して牛丼をお出ししました」(原口さん)

大卒で入社して5年目だという原口さんは、一年に一度のビッグイベントであるダンロップフェニックスに出場するプロたちに最高のプレーをしてもらいたい一心から、「たとえば谷口徹プロは赤出汁がお好きなので、お味噌汁は合わせ味噌ではなく、赤出汁をお出しします」といったように、なるべく選手たちの食の好みを把握するよう努めているのだという(ちなみに普段はコースの会員の好みの把握に努めているそう)。

「牛丼は、“タイガー(・ウッズ)がおかわりした牛丼”ということで、レストランの名物メニューだったんです。でも、ケプカ選手がこれだけ気に入ってくださったんで、これからは“ケプカ丼”と呼びます! ……そう本人にお伝えしたら、笑ってくれました(笑)」(原口さん)

国内屈指のビッグトーナメントであるダンロップフェニックス。そのレストランの“おもてなし”の質の高さは、まさに世界に誇るジャパンクオリティだった。

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