12月4日、ひとりのPGAツアープレーヤーが手記とともに自らの病を公表した。 現代医学をもってしても根本的治療法のない病、筋ジストロフィー。それを打ち明けたのはリッキー・ファウラーのオクラホマ州立大学時代の同級生モーガン・ホフマンだった。

手記の題名は「So Damn Lucky」。不治の病を告白するというのに「自分はなんてラッキーなんだ」とこれ以上ない前向きな言葉からはじまっている。

2011年のプロデビュー以来着々と実績を積み重ね昨シーズンのフェデックスカップポイントランクは81位。ホンダ・クラシックで2位に入るなど伸び盛りの若手(28歳)は将来を嘱望される存在である。

そんなホフマンが体の異変に気づいたのはちょうどプロとしてのキャリアをスタートさせた7年前。ゴルフに限らず、ホッケーや野球経験もある大のスポーツ好きで、トレーニングが趣味なのだが、いくら鍛えても筋力が落ちる不思議な症状に陥った。

心配になって病院を渡り歩くが原因究明に至らず。全米はおろかカナダにも足を伸ばし、その数25カ所以上で診察を仰いだのだが、医師たちの答えは「原因がわからない」というもの。

不調を感じながらツアーを転戦するなか1年半前に藁をもすがる思いで門を叩いたのがニューヨークの神経科の医師。そして告げられたのはあまりにも残酷な診断だった。

「検査の結果モーガン、あなたが患っている病気は筋ジストロフィーです」

まさか? なぜ自分が? の思いが渦巻きパニックになった。だが医師が告げたこの言葉だけは鮮明に覚えている。

「残念ながら治療法のない不治の病です」

悪夢だと思った。すべては悪い冗談でいつか笑い話にできるのではないか? しかし現実は違っていた。

彼が患っている筋ジストロフィーのタイプは胸、背中、腕そして脚の筋力を徐々に失うというもの。しかし進行の速度は一定ではなくどんな症状が現れるのかは予測がつかない。

画像: 2017年のホンダクラシックではリッキー・ファウラーに次いで2位でフィニッシュした(写真は2015年全米オープン)

2017年のホンダクラシックではリッキー・ファウラーに次いで2位でフィニッシュした(写真は2015年全米オープン)

だがモーガンは強かった。「タイガーみたいになりたい」とゴルフに情熱を傾ける傍ら、学生時代から後進国の子供たちに教育を施すためのチャリティ活動に取り組み、アメリカ国内でも難病の子供たちに手を差し伸べる活動を地道に行ってきた彼はこう思うのだ。

「筋ジストロフィーのせいでこれまでの僕の人生がすべて否定されるわけじゃない。病気は僕の人生にとってはほんの一部」

「プロになる夢を追いかけそれを実現し、チャリティ活動を通して病気に苦しみながら健気に、未来に希望を持って生きている子供たちから大きなエネルギーをもらってきた。そういう素晴らしい体験を積み重ねてこれたのだから自分の人生はなんてラッキーなんだ!」

手記の最後は「So damn lucky」のセンテンスが3回繰り返されていた。「病に負けずゴルフだけでない人生にチャレンジする」というホフマンの決意には読む者の心の柔らかい部分が鷲掴みにされる。

今後いつなんどき筋ジフトロフィーの特効薬が開発されるかもしれない。いまはただ「目の前の人生を精一杯生き尽くす」ことのみ。

ファウラーを応援するときほんの少しでもいい。ホフマンという最強のハートを持つプレーヤーの存在を思い出して欲しい。

写真/姉崎正

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