プロゴルファーのバッグの中には、ときに意外なクラブが入っているもの。有名プロコーチであり、ツアープロとしても活躍する中井学のバッグの中に入っていたのは……“絶滅危惧種”と言っても過言でない「T字型パター」。いったいなぜこの形状を選んだのか? そこにはプロならではの理由があった!

「どうですか、このパター。カッコいいでしょ? すごく探したんですよ!」と、中井学が笑顔で見せてくれたのは、2016年にクラブ事業から撤退したナイキゴルフの2013年のプロダクト「ナイキ メソッドモダンクラシックパター MOD90」だ。

画像: 中井のエースパター・ナイキのメソッドモダンクラシックパターMOD90。実は未だに人気がある

中井のエースパター・ナイキのメソッドモダンクラシックパターMOD90。実は未だに人気がある

その形状は、最近すっかり見かけなくなった「T字型」。形状がアルファベットの「Tの字」に似ていることからその名で呼ばれるこの形状、今から半世紀ほど前にピンの「アンサー」が世に出るまでは、「L字型」のパターと並び、代表的な形状だった。

その特徴は、重心の浅さ。重心が浅いとミスヒットに弱く軌道も安定しないなどデメリットがある反面、自分の思うように動かせる、シャープな操作性を得ることができる。

しかし、いかんせんピン型やサイズの大きいマレット型に比べ、基本的には「難しい」パターだと言え、であるがゆえに市場から姿を消しつつあるというのが「T字型パター」を巡る今の状況だ。クラシックカーは味があって魅力的だが、最新のエコカーに機能では勝てない。そんなイメージだ。

そんな“絶滅危惧種”をなぜわざわざ自分の足で探し回ってまで使用するのか?

「パターって、14本のクラブの中で、振ったときのフィーリングが1本だけ違うクラブですよね。僕は、それが嫌だったんです。14本を全部同じような感覚でスウィングしたい。T字型は、僕にとってはもっとも他のクラブと同じように振れるパターなんですよ」(中井)

画像: この形状だからこそ、他の13本と振り感が揃うのだという

この形状だからこそ、他の13本と振り感が揃うのだという

アンサーの登場により、パターは飛躍的にやさしくなった。それ以来、基本的にパターの進化は、より真っすぐ動かしやすく、よりミスヒットに強く、より転がりが良くなる方向を目指している。しかし、その進化により、パターのエキストラクラブ化が進んだのではと中井は指摘する。

「T字型は難しい、と誰もが思うはず。でも、すべてのクラブを同じフィーリングで打ちたい僕にとっては、もっとも使いやすく、やさしいパターなんです。実は、T字型の代名詞であるアクシネットのブルズアイも持っていて、ナイキのメソッドとダブルエース状態なんですよ」(中井)

クラブとしてやさしいからといって、使う人にとってやさしいとは限らない。最新モデルでなくとも、自分に合うものがもっともいい道具だと割り切り、名より実をとるプロゴルファーらしい道具選び。我らアマチュアゴルファーも参考にしたい。

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