練習場ではいいのに、本番になると真っすぐ飛ばないってことは誰にでも経験があるはず。レギュラーツアー30勝、シニアツアーで8勝を挙げているレジェンド・倉本昌弘は「練習に制限を設けることで本番に強くなります」と話す。自身の著書「本番に強くなるゴルフ」からコースでも力を発揮できる練習法をご紹介。

ミスを呼ぶ心があなたの邪魔をしている

練習場では上手く打てるのに、コースに出ると球が曲がる。大事な場面ほど大きなミスが出てしまう。そういう悩みを持つ人は多いと思います。いつもならできることが本番になるとできない。それはどうしてなのでしょう? その理由を知ることは、ゴルフが上手くなるために非常に重要な意味があります。

本当は練習場でできていることがそのままコースでもできればいいわけです。けれども、残念ながら人間は、そこに何かの制限をされます。真っすぐ打たなくてはいけない。この距離を打たなくてはいけない。右の池、左のOBを避けなくてはいけない。そういう制限をされた瞬間に、「心」が出てきて邪魔をするのです。「心」というのは、OBやバンカーが嫌だとか、曲がるんじゃないかという恐怖心。ピンに寄せたい、カップに入れたいという欲求。難しい状況からやったこともないショットを成功させてやろうという野心などの、ざわつく「心」のことです。この「心」が出てきた瞬間に、体というのは上手く動かせなくなります。だから、思いもかけぬミスが出てしまうのです。

これは、床の上に描かれている30センチ幅の線の上を歩ける人が、10メートルの高さになると歩けなくなるのと同じです。10メートルという制限をつけられた瞬間、恐怖という「心」が出てきて、歩けるはずの30センチの幅が歩けなくなる。だから10メートルの高さを歩けるようになるためには、普段から10メートル、いいえ、最初は1メートルでも2メートルでもいいから、制限をつけて歩くという練習をしておく必要があるのです。

画像: 制限のない状態でいくら練習しても意味がない

制限のない状態でいくら練習しても意味がない

ゴルフの場合で言うと、練習場では同じ番手を使い、同じ場所から同じ所を狙って何発も打てます。すると、「心」はどんどん消えていく。これは、何も制限しないで(高さをつけないで)歩いているのと同じです。それでは10メートルの高さは歩けるようにはなりません。10メートルの高さを歩くためには、つまり、本番でいつもどおりのプレーをするためには、普段から何かしらの制限をつけて練習することが大切なのです。

では、どんな練習をすればよいのでしょう? 簡単にできるのは、3球打ったら番手を変える。そして、3球ごとに狙い所を変えるということです。同じ番手で、同じ所を狙っていれば、そのうち球は真っすぐ飛ぶかもしれません。しかし、そんな練習をしても、本番でピンを狙った瞬間に「心」が出てきてあなたを邪魔する。だから、練習場でも、番手を変え、狙い所を変える。そういう制限をつけることで、本番でも「心」が表に出にくくなるのです。

「本番に強くなるゴルフ」(ゴルフダイジェスト新書)より

写真/岩井基剛

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