欧州ツアーのオメガ・ドバイデザートクラシックを2位でフィニッシュし、世界ランキングでもトップ10に返り咲くなど復活の兆しを見せているロリー・マキロイ。マキロイといえば、世界のトップ選手としては小柄にもかかわらず、圧倒的な飛距離を誇るのが印象的。どうしてあそこまで飛ばせるのか? 統計学と科学でゴルフを読み解く専門家、ゴウ・タナカが分析した。

タイガーは真似できないが、マキロイは真似するべき

マキロイ特徴的なのは彼の身長に対してのドライバーの飛距離だ。世界のトップに長身のプレーヤーが増えている中、170センチ台とPGA(米男子)ツアーでは小柄なほうに分類されるマキロイは、2017年の平均飛距離が317.2ヤードで堂々の1位だった。

一体どこからそのパワーが出てきているのか? 私は17年近くスウィングを分析し続けてきたが、マキロイのスイングには飛距離を出すテクニックが実はもっとも多いと言える。タイガー・ウッズが筋肉のしなやかさ、パワー、天性のバネで飛ばす中、マキロイは小さい身体を最大限に使うことでヘッドスピードを効率よく出している技巧派と言えるのだ。

ゆえに、タイガーの真似は困難を極めるが、マキロイなら可能だ。参考になることがいくつもあるのだが、今回は分かりやすい特徴である一つの動きにフォーカスして、いかにマキロイがあれだけの飛距離を出しているのかを解説する。

画像: PGAツアーでナンバー1の平均飛距離を誇るマキロイ(写真:2017年全米プロゴルフ選手権)

PGAツアーでナンバー1の平均飛距離を誇るマキロイ(写真:2017年全米プロゴルフ選手権)

まず、飛距離を数式にしてみると?

飛距離=ヘッドスピード(インパクト前)×ヘッドスピード(インパクト後)×スピン量×ミート率

となる。

このすべての項目が重要になるわけだが、マキロイは実にすべての項目で素晴らしいパフォーマンスを出している。その秘密が、切り返しにある。マキロイはこの動きでヘッドスピード、スピン量、ミート率の全てを実に理想的にあげているのだ。

マキロイはトップからダウンにかけての下半身が回転し始めると同時(切り返し)で手が真下、いやむしろ更に後方(背中方向)にグリップが動いていく。ほとんどのゴルファーの手が前方(胸方向)に出る中、マキロイはその逆なのだ。この切り返しこそがマキロイの飛距離の大きな鍵となっている。私はこの動きをループターンと呼んでいる。マキロイは比較的大きくループターンを使っているが、少なからずこのループターンを使うプレイヤーは超一流プレイヤーに数多く見られる。

では一体このループターンはどのような効果を生むのか?

画像: 切り返しで手を真下、もしくは後方に動かすことでさらに捻転差を作る(写真:2017年全米プロゴルフ選手権)

切り返しで手を真下、もしくは後方に動かすことでさらに捻転差を作る(写真:2017年全米プロゴルフ選手権)

切り返しで手を前に出さずに真下、もしくは後方に動かすことでダウンスウィングはインサイドから入りやすくなり、カット軌道になるのを防ぐ効果がある。これはスピン量に大きく影響し、スライスや引っ掛けのミスが少なくなる。

さらに、腕が下半身に対してワンテンポ遅れやすくなることで下半身との捻転差が生じやすくなり、同じ筋力でもヘッドスピードを上げる効果がある。そして、腕が身体の近くを通りやすくなることから、理想的なR160(左腕とシャフトの作る角度が160度以内の)インパクトを満たしやすくなり、ミート率も上がる効果がある。

画像: マキロイの“理想的”とも言えるインパクト(写真:2017年全米オープン)

マキロイの“理想的”とも言えるインパクト(写真:2017年全米オープン)

つまりループターンは飛距離を伸ばす上で全体的に効果があると言える。当然ほかにもヘッドスピードをあげるテクニックはたくさんあるのだが、ループターンの効果は絶大だ。

スライスに悩むアマチュアのプレーヤーは是非ループターンを試してもらいたい。いきなりやるのは難しいので、まずは切り返しで拳を前ではなく真下に落とし、できるだけ拳が右腰スレスレ(当たるぐらい)を通過させるようなイメージで打ってみるといいだろう。この時シャフトが横ぶりになるようなイメージだとなお良い。いきなりは難しいかもしれないが是非試していただきたいものだ。

【R160メソッドまとめ】
1 スウィングにおいてもっとも重要なことはインパクトの角度
2 スコアメーキングにおいてもっとも重要なことは平均バーディ数をあげること
3 パー5の2オンは確実に30ヤード以内に寄せられないなら得意な距離を残し3打目勝負する
4 パッティングにおいて最も重要なことは、パターをボールにセットアップしてから3.5秒以内で打つこと(3.5秒パッティング)
5 いいスイング、飛距離のポイントはループターン

写真/岡沢裕行、姉崎正

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