飛躍的に飛距離が伸びてきている近年のプロゴルフの世界。ゴルフにおいて飛距離は大きな魅力の一つであり醍醐味でもある。では、トッププロはどのようにとんでもない飛距離を現実のものとしているのか? データと科学からゴルフを分析するゴウ・タナカがひも解いた。

インパクト後のヘッドスピードを意識することが飛距離アップの近道となる

プロたちはなぜとんでもない飛距離を出せるのか。まず、飛距離を構成する要素に分けてみる。

飛距離=ヘッドスピード(インパクト前、後)×スピン量×打ち出し角×ミート率

このうち、スピン量、打ち出し角、ミート率というのはどれも適度な数値があり、限界もある。つまり、ヘッドスピードをどれだけ活かせるか? ということであり、ヘッドスピードをどれだけ効率よく飛距離へと変えられるかを決める要素ということになる。

やはり重要なのは、飛距離におけるエンジン部分と言えるヘッドスピード。そのヘッドスピードは多くの場合ひとつとして考えられているが、インパクト前、インパクト後と2つあるという認識をすることで、そのイメージは変わり、飛距離アップへの近道となる。

同じゴルフクラブを目一杯振った場合、ボールがあるときと、ないときではヘッドスピードは変わり、ボールがあるときのほうがヘッドスピードは下がる。これは非常に単純な理屈で、ボールが障害物となるため、当たった瞬間にヘッドスピードがガクンと落ちるからだ。つまり、インパクト前のヘッドスピードをいかにボールを打った後も保てるかが飛距離に影響するわけだ。

画像: “お手本”と評するロリー・マキロイのように、インパクト「後」のヘッドスピードをいかに落とさないかが飛距離の鍵を握るとゴウ・タナカは分析する(写真は2017年WGCブリヂストンインビテーショナル)

“お手本”と評するロリー・マキロイのように、インパクト「後」のヘッドスピードをいかに落とさないかが飛距離の鍵を握るとゴウ・タナカは分析する(写真は2017年WGCブリヂストンインビテーショナル)

では、どうすればインパクト後のヘッドスピードの減少を抑えられるのだろうか。まずはもっとも簡単で、すぐにでもできる方法を紹介しよう。インパクトにおいてヘッドスピードが落ちるということを認識するということだ。殴られると思って殴られるのと、不意に殴られる場合ではダメージの大きな差があるように、人は予想しているものに対しては準備ができ、その結果に変化をもたらすことができる。この事実を正しく認識することだけでも、インパクトで当たり負けをすることがなくなり、ヘッドスピードの落ち込みを防ぐことができる。

技術的には、インパクト前後のクラブヘッドの動きを積極的にすることが重要だ。ポイントはクラブフェースのローテーションを強くすることにある。フェースが強くローテーションすることにより、インパクトでの衝撃に対しての抵抗力はローテーションさせないときより強くなり、飛距離アップにつながる。

手首、指の使い方は個々のグリップにより理想的な手首の使い方が変わってくるので一概には言えないが、怖がらずにしっかりフェースローテーションをさせるのがポイントだ。ボディターンを使い、フェースをローテーションさせない、など言われる中、トッププロの手首の使い方、フェースローテーションは実際かなり強い。インパクトゾーンで手首、指をロックしてしまう行為は野球の投手が手首、指をリリースで使わない行為に等しい。

画像: マキロイも、インパクト前後でしっかりとフェースがターンしている。軌道はインサイドからだ(写真は2017年全米オープン)

マキロイも、インパクト前後でしっかりとフェースがターンしている。軌道はインサイドからだ(写真は2017年全米オープン)

スウィングプレーンは影響するだろうか? 実は、直線的な関係はない。しかし、やはりカット軌道は好ましくない。理由は単純で、カット軌道でフェースローテションをすると、少しでもタイミングがズレたら思いっきり引っかけてしまうからだ。

ほとんどのトッププロはインサイドからボールをとらえるので、激しいフェースローテーションが可能となる。それに対し、ほとんどのアマチュアはカット軌道なので、必然的にフェースローテーションを抑えなくてはいけなくなってしまい余計に飛距離を失うという悪循環に陥っているのだ。

フェースローテーションを積極的に行えば、インパクトでの当たり負けが生じにくくなり、インパクト後もヘッドスピードを保てるようになる。そして、フェースローテーションをより積極的に行うためにも、インサイドからの軌道が望ましい。

机上の空論と思われる方もいるかもしれないが、最初から諦めてしまっては元も子もない。当然、最初から安定は望めずリスクも高いが、筋力トレーニングなしに飛距離をアップさせる近道なのは確かなので、まずは「認識すること」からでも、試してみる価値はあるのではないだろうか。

写真/岡沢裕行、姉崎正

This article is a sponsored article by
''.