スタート前のドライビングレンジ。1カゴ25~30球程度の少ない球数と限られた時間のなか、どんな練習が効果的なのだろうか? 「大事なのは、練習しないことですよ!」と話すのは教え上手の荒井舞プロ。一体どういうこと?

スタート前の30球で“上達”は起こらない

「アマチュアのみなさんは、スタート前に『練習』をしようとしがちですよね。普段練習していないから不安なのかもしれませんが、ここで30球程度『練習』しても、突然上手くなってその日のゴルフでいいスコアが出るなんてことは絶対ありません。あくまでも、『普段どおり』のプレーができる準備の時間と考えることが、いちばんいい結果につながるんですよ」(荒井プロ)

うーん、たしかに。練習場でスライスが出たからって、20数発でそのスライスが完治できたら苦労はない。しかし、「練習」ではなく「準備」として、具体的にはどんなことをすればいいのだろうか。

画像: ステップアップツアーなどでは朝の練習は30球しか打てない。ドライビングレンジに持って行くクラブはドライバー、4番ウッド、4番ユーティリティ、7番アイアン、PW、SWの6本だ

ステップアップツアーなどでは朝の練習は30球しか打てない。ドライビングレンジに持って行くクラブはドライバー、4番ウッド、4番ユーティリティ、7番アイアン、PW、SWの6本だ

荒井プロの場合、ストレッチや素振りを済ませて、ドライビングレンジにはクラブ6本を持ち込むという。そして、まず最初に持つのはサンドウェッジ。

「まずボールがフェースに乗る感覚や体の動きをチェックしながら、30~40ヤードを2球くらい打ちます。この小さな振り幅は、スウィングの基本部分でもあるので、それを最初に確認します」(荒井プロ)

次にそのサンドウェッジで2球ほどフルショット。サンドウェッジはパターを除く13本のなかでいちばん重くて短いクラブなので、手先に頼らず体で振ることを意識しやすいのだという。

画像: まずはウェッジで感触を確認しながら始め、少しずつ長いクラブに持ち替えていく

まずはウェッジで感触を確認しながら始め、少しずつ長いクラブに持ち替えていく

サンドウェッジで振った感覚をそのままに、ピッチングウェッジで3球、7番アイアンで3球ほどフルショット。さらに「得意」という4番ユーティリティを3~4球、4番ウッドを2~3球と番手を上げていく。

「フルショットといっても、いわゆる『マン振り』はしません。バランスを崩さないように、実際にプレー中に振るのと同じ8~9割の力感で振るんです。コースによっては、ロストボールやワンピースのレンジボールを使っている場合もあるので、飛距離なども気にしません。インパクトで当たった感触や体の動きに意識を集中します」(荒井プロ)

この飛距離を気にしないというのはポイントだ。朝の練習で飛ばないからって、残りの球数で劇的な飛距離アップに成功する可能性はとてつもなく低いことが予想される。

一番多く打つのはドライバー。「こんなもんかな」で切り上げるのがコツだ

さて、ここまでで16~18球を消化し、残りは14~12球程度。荒井プロがドライバーを持つのはここからだ。

「ドライバーでも、飛距離や曲がりはあまり気にしません。自分のやりたい動きがきちんとできているか、打ちたい球筋が出ているかをチェックするんです。私の場合は、自分のイメージした動きでつかまったドローが出ているかどうか。多少曲がりが多めだったりしても、出球の方向や球をつかまえた感触がよければOKです」(荒井プロ)

画像: ドライバーは納得のいく感触と球筋が出るまで打つ。平均すると10球前後打つことが多いが、不調時などは残りのボールを全部ドライバーで消化する場合もあるという

ドライバーは納得のいく感触と球筋が出るまで打つ。平均すると10球前後打つことが多いが、不調時などは残りのボールを全部ドライバーで消化する場合もあるという

納得のいく球が出たらドライバーは終了。いいフィーリングを残して終わりたいが、無理に「最高」を求めずに、「こんなもんかな」というところで切り上げるのがポイントだという。残った球はウェッジなど消化して、ドライビングレンジでの練習は終了だ。

ナイスショットしようとするのではなく、ウォーミングアップと、自分のその日の調子を確認することが最優先。「今日はちょっと球がつかまらないな」とか、「体のキレがいまいちだな」というようなことに気づくためのチェックの場なのだ。

「すごく大事なのは、それを朝の練習で『直そう』としないことです。つかまらないなら、ドローを薄めに計算したり、スライスのミスを考慮したりしてその日のゴルフを組み立てるほうが、スコアにはつながります。それを、朝の練習でどうにかしようとするのは、悪循環の始まりなので、絶対にダメですよ!」(荒井プロ)

ラウンド当日の朝のドライビングレンジを「練習」ととらえてとにかく球を打っている人は、ぜひ荒井プロのように「確認」の場に変えてみてはいかがだろうか。

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