林佳世子さんは普段、赤坂にあるゴルフスタジオ「√d(ルートディー)ゴルフアカデミー」で受付嬢をしている。しかしこの林さん、ドライバーを持つと飛距離は280ヤード。ドラコン大会での優勝経験もあるという。「もともとは220ヤードくらいしか飛びませんでした」という林さんが飛ばし屋になるまでのストーリーを聞いてきた。

飛ばないトップアマがドライバーイップスを経てドラコン女王に変身

みんなのゴルフダイジェスト編集部(以下:編集部):平均280ヤード飛ぶとのことですが、昔から飛ばし屋だったのでしょうか?

林:実は飛ばし屋ではなかったんです。10歳のときにお父さんのススメでゴルフを始めて、スポーツ推薦で入学した専修大学2年生のときに「関東女子学生」(2005年)で優勝できたり、その年の「日本女子アマ」ではベスト16に入ったりと競技で結果は出ていたんですが、そのときのドライバーはせいぜい220ヤード、マックス飛んで230ヤード。JGA(日本ゴルフ協会)のプロフィールページには「平均飛距離230ヤード」って載っていますけど、実は盛ってました(笑)。

編集部:なるほど。しかし、すごい経歴の持ち主だったんですね!

林:そうですね(笑)。競技で結果が出たことで、たくさんのコーチから声がかかるようになって、あるコーチにスウィングを習いました。でも言われたことがまったくできなかったし、やればやるほど迷路にハマる負のスパイラルに陥りました。生まれつき私の体は弛緩症といって、関節がとってもユルくてズレやすいし、トレーニングをしても筋肉がつきにくい。しかも当時は「重いクラブを使いなさい」というセオリーがありましたが、この体質で重たいクラブを振るのは負担が大きすぎるし、できない理由を教えてくれるコーチもいない。

編集部:レッスン迷子になってしまったと。

林:しかも最悪なことにドライバーイップスになっちゃったんですよ! アドレスで固まっちゃうし、チーピンに悩まされるし、目の前の池にまさかの池ポチャをするし。もう「どうしよう、どうしよう」とバタバタのゴルフで、スコアどころじゃありません。キズつき悩んで自信をなくした私は、20歳代の半ばにはゴルフをやめようって考えるようにもなりました。

編集部:そこからどうやって飛ばし屋に……?

林:ある日、学生時代の同級生に誘われて、当時は西麻布にあったこのアカデミーに顔を出したんです。そこで球を打つ私に、的確な指摘・アドバイスをしてくださったのが浦(大輔)先生でした。そこからさらにいろんなことを教わるようになって、すぐにドライバーの飛距離が250~260ヤードに伸びたんです。“リケジョ”じゃありませんが、もともとロジカルに物事を考えるタイプの私には、事細かに理論的・物理的に教えてもらったことで、スッと体に入ったんです。私より飛んでいた同級生をオーバードライブするようになったし、コースでは2打目の景色がガラッと変わりました。

編集部:その縁で“受付嬢”になったわけですか。

林:そうですね。大学4年生の春に大学を中退して女子ツアーのQTやプロテストを受けるようになったんですが、年齢も30歳近くになって、競技ゴルフにピリオドを打つことにして、このスタジオの受付や事務員として働かせてもらいました。正直いうと、一時期はもうゴルフをやりたくなかったし、クラブを見たくもなかった。でもしばらくすると、気持ちが整理されてきたのか、スタジオで楽しそうにゴルフを習っているお客さんを見たせいか「せっかく飛距離が伸びたんだからドラコンに出てみようかな」という思いがわき上がります。「飛ばすことだけに集中したらあと何ヤード伸ばせるんだろう?」と、ホントに興味本位でした。私が飛ばなかったころを知っている同級生たちは「あのカヨコがドラコン!?」って、もうビックリ(笑)。

飛距離を伸ばしたのは9番アイアンで

編集部:さて、いよいよ核心に迫ります。どうやって飛距離を伸ばしたのですか? 

林:実は始めに取り組んだことは、ドライバーじゃなくて9番アイアンで飛ばす練習でした。かつては9番アイアンで105~110ヤードでしたが、今は140ヤード飛びます。飛距離を伸ばすのはアイアンから。ショートアイアンが飛ばせないのに、ドライバーだけ飛距離を伸ばせるはずがありません。そこが「飛ばし」の入り口でありキモです。

画像: 9番アイアンで飛距離アップに成功

9番アイアンで飛距離アップに成功

編集部:打ち方のコツはありますか?

林:よくあるレッスンでは「トップを小さく、フォローを大きく」って言われますよね。でも私は、そのことにずっと違和感があったんです。ボールに“当てる前”じゃなくて“当たった後”のほうがなんで大事なんだろう? そんなギモンを一発で解決してくれたのが「トップを深くして、フォローはいらない」という教え。今までとはゼンゼン逆ですよね。実際に9番アイアンでそういう練習をしたら、もう速攻で飛ぶようになったんです! 

画像: フォローを大きく(写真左)しても飛距離には関係ないのでは? と、9番アイアンで“打って終わり”(写真右)の意識に変えた

フォローを大きく(写真左)しても飛距離には関係ないのでは? と、9番アイアンで“打って終わり”(写真右)の意識に変えた

編集部:「フォローはいらない」ですか!  

林:ボールに大きなエネルギーを伝えるには“助走距離”をできるだけ長くとったほうがいいに決まってますよね。それまでは、助走距離を短くして大きくジャンプしようとしてたので、ムリがあったんです。思い返せば、飛ばなかったときの私は「自分の飛距離なんてこんなもの」って決めつけてしまい、飛ばす努力をゼンゼンしませんでした。でも「飛距離は伸ばせる」と思考回路を丸っきり入れ替えて、それまでとは真逆のことに取り組んだらメッチャ飛ぶようになったんです。

編集部:なんだか、我々も飛ばせそうな気がしてきました。

林:飛ばなかった私でも飛ぶようになったんだから、絶対飛ばせますよ! 今ではレッスンもやっているのでよかったら習いに来てくださいね(笑)

写真/岡沢裕行

(内容一部修正いたしました 2018年2月14日17時30分)

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