30年近くプロからアマチュアまで数多くのゴルファーを指導し、2005年にレッスン・オブ・ザ・イヤーを受賞した増田哲仁(ますだ・てつじん)。多くのゴルファーの飛距離を改造してきたから分かる“飛ばしのメソッド”が詰まった著書「ネジらない!から遠くへ飛ぶ、ピンに寄る。」から、独自の理論「中心感覚打法」をご紹介しよう。

スウィングの「真ん中」を探そう!

――ゴルフスウィングをつくるとき、いちばん大事にすべきことはなんでしょうか。

まず、絶対に意識してほしいのが、スウィングの「中心」、「真ん中」を感じることです。基本的に人間が重力の中で立ったり、歩いたり、走ったりするときは、常に中心、真ん中を感じ、左右上下のバランスをとっています。

人間は習慣的に中心、真ん中を作った状態で動き、生活しているのです。ゴルフスウィングも含め、真ん中を感じとれなければ、人はうまく動けません。

――動くためにはバランスをとることが必要で、バランスを保つためには、真ん中を感じとることが必要だ、というわけですね。

そうです。歩いたり、走ったりといった動きでわかりにくいのなら、自転車に乗る姿を思い浮かべてください。自転車にうまく乗るためには、バランスをとる必要があります。バランスをとり、そのバランスを維持するためには、真ん中、中心感覚が必要です。

真ん中をもとにして、左右のバランスをとるからです。もし、真ん中を感じていないと、バランスをとれないから自転車は倒れてしまうでしょう。だから真ん中を感じとれない人は自転車に乗れません。ゴルフスウィングも自転車と全く同じ、と私は考えます。真ん中を感じ、バランスがとれないと、うまくスウィングできないのです。

ところが、普段当たり前のように真ん中を感じて運動している人が、ことゴルフになると、途端に真ん中を感じとれなくなってしまうのです。

画像: 歩くように打つためには中心を感じなければならない。それが増田プロが提唱する「中心感覚打法」

歩くように打つためには中心を感じなければならない。それが増田プロが提唱する「中心感覚打法」

――だからいくら練習しても、いつまで経ってもうまくなれない、と。なぜ、ゴルフになると、真ん中をうまく感じとれなくなってしまうのでしょうか。

その最大の理由は、多くのアマチュアがボールを中心にスウィングを考えてしまうからです。ボールに自分の体を合わせよう、クラブフェースを当てようとするから、バランスのとれた、正しい動きができなくなってしまうのです。体を中心としてクラブヘッドを振るのではなく、ボールを中心にして、ヘッドを当てにいくから「当て上手」にはなれても、「振り上手」にはなれないんです。

――「当て上手」と「振り上手」?

ボールが中心の「当て上手」とは、いわゆる手打ちのことです。手先というのは、人間の体の中でもっとも器用に動かせる部分です。器用な手先を利用しないのは不自然だという人もいますが、器用である反面、どのようにも動いてしまうので、意図的に制御(コントロール)することが難しくなります。当て上手は常に練習していないと球筋が安定しないので、調子のいい日と悪い日の差が激しくなってしまうんです。

画像: 腕や手を一切振らずに、体(自分)主体でクラブを振るのが「振り上手」、振り上手は練習量が少なくても確実に上手くなる上に、ショットのばらつきも少ない

腕や手を一切振らずに、体(自分)主体でクラブを振るのが「振り上手」、振り上手は練習量が少なくても確実に上手くなる上に、ショットのばらつきも少ない

――「当て上手」になっても、すぐに忘れてしまうんですね。だから「振り上手」になれ、と。

それに対して、最近、活躍中の若者たちのような「振り上手」は、あくまでも自分の体が真ん中、自分が主役です。自分が中心になり、自分がいちばんスピーディ、正確に動ける状態にしておいて、その中にボールを引き込む。つまり、体を中心にしてヘッドを振り、ヘッドが当たる位置にクラブとボールをセットするのです。

アマチュアゴルファーはスウィングをなにか特別な運動のように思っている人が多いのですが、普段歩いているときと同じように立って、歩くときと同じように体重移動させ、歩くときと同じバランスで動くだけなのです。つまり、普通に歩ける人なら、普通にスウィングできるということです。

ーー歩くときのように、体を中心にさえすれば、真ん中を感じてバランスよくスウィングできるというわけですね。

そのとおりです。それにはまず「真っすぐ立つ」ことが基本になります。真っすぐ立てれば、スウィングの真ん中が見つかりやすくなります。

「ネジらない!から遠くへ飛ぶ、ピンに寄る。」(ゴルフダイジェスト新書)より

写真/岩村一男、増田保雄

This article is a sponsored article by
''.