ゴルフをプレーする上でルールはもちろんのことマナーも大切だ。自分は大丈夫..….なんて思っていると思わぬところで恥をかいたりするもの、正しいマナーを身につけておくことに損はない。ゴルフマナー研究家・鈴木康之の著書「ゴルファーのスピリット」からすぐに役立つゴルフマナーをご紹介しよう。

「お先に」するかしないかで、プレー時間は 15〜20秒変わる

職場の経費節減、体重のダイエットに比べたら「プレー時間の短縮など、容易(たやす)いことよ」とは、待ち待ちのラウンド中に溜め息まじりによく漏らされる嘆きです。

打つ番になってもなかなか打たない。打ち直しのボールをカートまで取りに行く。グリーン上でスコアカードを広げてのそりのそり歩く。バンカーショットしてからレーキを取りに行く。雨の日や朝露の上で濡れているボールをキャディに拭かせる。残りの短いのをマークして拾い上げる。

細かいことばかりですが、ゴルフでは1ラウンドで一人が500前後の細かな所作、行為を重ねます。10秒の一所作から2、3秒縮め、数十秒の無駄な行為を一つ一つ剥ぎ取っていけば、トータルで10分や15分の時間短縮は簡単にできます。

たとえば、残したショートパット。そのまま続けて「お先に」で済ましてしまうのと、マークしてピックアップして、退いて、また進み出て、ボールを置いて、ラインを見直し、呼吸を整えてアドレスする、というのとでは、15秒から20秒違います。

画像: ゴルフは一つのホールに500近くの動作を含んでいる。一つ一つ無駄を削れば自然とプレーファストになるのだ

ゴルフは一つのホールに500近くの動作を含んでいる。一つ一つ無駄を削れば自然とプレーファストになるのだ

昔いっとき、パッティングは続けてすべしのゴルフ規則があったのだそうです。それを知ったのは相模CCや湯河原CCで役員をしておられた才人、南郷茂宏さんが雑誌に連載していたエッセイの中。それは私がゴルフを始める少し前の1968年に書かれた作品でした。

調べてみたところ、1969年版の『ゴルフ規則』の第20条「遠い球を先にプレー」には確かに

例外・・・グリーン上でのストロークプレーは連続して行う。

とあり、第35条の3「ストロークプレー」のe「プレーの連続」には

グリーン上では競技者はホールアウトするまで連続してプレーしなければならない。ただし同半競技者が自己のパットの線を踏まれると考えたときは、競技者の球を拾い上げて順番にプレーすることを要求できる。本項eの反則は1打付加。

とあります。それが1970年版では第35条の3のeとして「プレーの連続」は廃止と記されています。

Continuous-putting Ruleがなぜ儚く消えていったのかは詳らかではありません。「どうして廃止になったのかいまだに分からんのです」と銀座・交詢社のビルのティールームで南郷さんは首を傾げていました。「だって連続パッティングのおかげでわれわれのラウンドは間違いなく早くなっていましたよ。コミッティたる者がルールに逆らうのはいかんのだけれどワンピンだろうとお先にですよ。いまだにね」

1969年前の数年間のおかげで当時の人たちにいい癖が残り、今日の「お先に」に引き継がれてきたのでしょうか。せっかくラインのイメージがつかめているのに拾い上げ、プレーを中断、また置き直して手続きに入る、これを二度手間といいます。いい癖とはいえません。

「ゴルファーのスピリット」(ゴルフダイジェスト新書)より

写真/姉崎正

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