オフシーズンが終わり新シーズンが開幕すると、プロを横で支える“プロキャディ”が昨年度と違っている、なんてことは女子ツアーではよく見る光景。年間契約をすることが少ない女子プロの世界で長年プロキャディとして活躍する佐藤大輔さんに、プロキャディの「営業活動」について聞いた。

2018年は桃子、彩香、菊地絵理香らがキャディをチェンジ

シーズンが始まると去年までとは雰囲気が変わっているプロがいる。契約のウェアメーカーが変わったわけでもない。変わったように見える理由は、横にいるキャディさんが去年までとは変わっていたりするからだ。今シーズンで言えば、上田桃子、シン・ジエ、渡邊彩香、菊地絵理香、原江里菜らが年間を通してお願いしていたキャディさんをチェンジしている。

佐藤大輔さんはほとんど女子プロゴルファーだけで男子ツアーでキャディをすることはないとのことだが、契約関係に関しては、男子と女子で大きな差があるという。イ・ボミの専属キャディを務める清水重憲さんは有名だが、女子ツアーの世界では意外と年間契約をしている選手が少ない。一方の男子プロは、年間どころか何年も同じキャディさんと組んでいるプロが多い。男性と女性のそもそもの違いなのだろうか。

画像: 年間を通して専属でイ・ボミのキャディを務める清水重憲さん(左)

年間を通して専属でイ・ボミのキャディを務める清水重憲さん(左)

佐藤さんの場合は、今シーズンは西山ゆかり、そしてルーキーの松田鈴英のバッグを担ぐ予定になっている。このように、特定の選手と年間契約を結んでいるわけではない佐藤さんのようなプロキャディはいつ、どのように選手に仕事をお願いするのだろうか。

「シーズンが終わる頃になんとなく聞きますね。たとえば西山さんなら、来年はどんな感じですかね? といったふうに。『今年と同じ感じかな』と言われたら、(その年に担いだ試合数を計算して)それをベースに他の選手に声をかけていく感じです」(佐藤)

シーズン中も、空きそうな週があれば、前もって試合会場で営業をかけるとのこと。当然、きっちり仕事ができなければ、選手側もお願いすることはないだろうし、完全な実力社会と言える。自分で営業をして、実務も自分でこなす。選手の成績はたとえるならノルマのようなもの。営業職の方にはその大変さがわかるのではないだろうか。

また、今季担ぐ選手の一人である松田鈴英はクオリファイングトーナメント18位の資格で前半戦に出場しているため、シーズン途中のリランキングまでに順位を上げ、後半の出場権を手にする必要がある。松田が後半の出場権を得られなければ、その分だけ佐藤さんの仕事も減る可能性がある。選手のみならず、キャディにとっても成績は死活問題なのだ。

その松田の成績はというと、開幕戦では29位、2戦目では2日目終わって首位と4打差の6位で最終日にのぞむも33位に終わった。ツアールーキーの松田にとっては初めてプレーするコースばかりのため、キャディの役割は大きい。その選手の飛距離と球筋から、右ドッグレッグや左ドッグレッグのホールでの狙い方やクセを読み取り、どんなアドバイスが有効なのか的確に判断しなければならないからだ。

画像: 松田鈴英(左)のキャディを務める佐藤大輔さん(右)

松田鈴英(左)のキャディを務める佐藤大輔さん(右)

運命共同体として戦うツアールーキーとプロキャディ。そんな関係性を頭に入れて観戦すると、女子ツアー観戦がもうひとつ味わい深くなる、かも。

写真/三木宗徳

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