パトリック・リードの勝利で幕を下ろした2018年のマスターズ。実はこのリード、以前アンケートで「ツアーで嫌われている選手」第2位に選ばれたことのあるクセもの。その最終日は赤のシャツが定番だったが、ゴルフライターが、今後へのエールをこめてリードのクセもの伝説をひもとく。

タイガーと同じ赤黒ウェアを“封印”して優勝

タイガーの3年ぶり登場で例年以上に沸いたオーガスタの杜。今年のマスターズはリッキー・ファウラーやジョーダン・スピースら人気者の追撃を振り切り、パトリッック・リードの逃げ切り優勝で幕を閉じた。

ゴルファーにとって最高の舞台で初のグリーンジャケットに袖を通したリードを讃えたい気持ちは山々だが…さて困った。

画像: 「赤」ではなく「紫」を着て「緑」のジャケットに袖を通したリード(撮影/姉崎正)

「赤」ではなく「紫」を着て「緑」のジャケットに袖を通したリード(撮影/姉崎正)

普通優勝者には心温まるエピソードの1つや2つ、必ずあるもの。ところがリードには悪評はあれど良い話は聞こえてこない。むしろツアーで彼は「嫌われもの」で通ってしまっている。

2015年にスポーツ専門チャンネルESPNが実施した選手アンケートでリードはツアー仲間からもっともの嫌われている選手第2位にランクインしている(1位はバッバ・ワトソン)。

23歳でツアー3勝を挙げると「自分は世界で5本の指に入る実力者。過去のレジェンドとタイガーを除けば自分が一番」と真顔で豪語しメディアを唖然とさせた。

練習ラウンドは大抵ひとり。誰とも交わらずファンにキレることもしばしば。学生時代にはスコアをごまかした疑惑をもたれたり、飲酒による逮捕騒動を起こしゴルフ部をクビになったことも。

最終日タイガーと同じ赤いポロシャツと黒のパンツを勝負服にしているのも一部のファンからは「生意気」「何さま気取り?」などと揶揄されることがある。しかし今回はトレードマークの赤黒のウェアを封印しての優勝だった。

画像: 普段の最終日は赤ポロを着用するリード(写真は2017年の全米オープン 撮影/岡沢裕行)

普段の最終日は赤ポロを着用するリード(写真は2017年の全米オープン 撮影/岡沢裕行)

契約先のナイキはマスターズに出場した17名の契約選手たちに初日から最終日までどの配色のウェアを身につけて欲しいかこと細かく指示。

初日ナイキの選手たちは雲を表すダークな色合いのポロシャツを着用。2日目の明るめのシャツは澄んだ水を表し、3日目のブルーはオーガスタの空をイメージしたという。

そして最終日は明るいピンクがかった紫のトップス。それはオーガスタを象徴するマグノリア(紫木蓮)の色である。

奇しくも最終日最終組は同じナイキのローリー・マキロイと同組でのプレー。マキロイは白いトレーナーを上に羽織っていたためマグノリアカラーのシャツがリードとかぶっているところは見えなかった。

もちろんタイガーは例外。彼だけがいつものように赤x黒のウェアを身につけることを許された。赤シャツがトレードマークのリードは内心面白くなかったに違いない。

それでも彼は勝ち切った。

願わくば今後はメジャーチャンピオンらしい振る舞いを心がけてもらいたい。善行を重ねていけばいつかリードの心温まるストーリーが書ける日が訪れるかもしれない。その日を心待ちにしたい。

This article is a sponsored article by
''.