先週重永亜斗夢の優勝で幕を開けた国内男子ツアー。今週は大阪の茨木カンツリー倶楽部にてアジアンツアーとの共催試合「パナソニックオープン」が開幕する。PGA(米男子)ツアーで優勝した小平智のように、世界を視野に戦う選手たちの現状をゴルフスウィングコンサルタントの吉田洋一郎が現地レポートする。

石川遼が中心の男子ツアーで“対抗馬”になる!?

今週の国内男子ツアーはアジアンツアーとの共催競技となるパナソニックオープンが開催されます。近年アジアンツアーではインドやタイなどのゴルフ新興国の選手が上位に食い込み、世界のゴルフ勢力図の変化を感じます。

そんな勢いのあるアジアンツアーメンバーを迎え撃つのが、今年の国内ツアーの主役となるであろう石川遼です。火曜日に行われたプロアマでは、ラウンド後にアプローチ練習場で一番最後までアマチュアに指導をしていました。

「スライサー、フッカーはそれぞれタイプが違うので、適切なアドバイスができるように気を付けました」(石川)

選手会長として率先してスポンサーやファンを大事にする言動を行い、日本ツアーを支え、盛り上げていこうという意気込みを感じました。

画像: プレーはもちろん、選手会長やJGTO副会長としての活躍にも期待がかかる(写真は2018年の東建ホームメイトカップ最終日 撮影/岡沢裕行)

プレーはもちろん、選手会長やJGTO副会長としての活躍にも期待がかかる(写真は2018年の東建ホームメイトカップ最終日 撮影/岡沢裕行)

現在スウィング改造を行っている石川は、昨年と比べると振りが鋭くなっており、順調な仕上がりとなっている印象を受けました。実際に飛距離が伸びていますし、スウィングに迷いが感じられなくなりました。

練習日のドライビングレンジやコース内で、バックスウィングで左手を反時計回りに回転させ、ダウンスウィングでクラブを寝かせる素振りを積極的に行っていました。この素振りを行う事で体と腕の関係性やクラブへの力のかけ方が変わり、手元の浮きを補正する動きが治まって、スムーズにスウィングをしているように見えます。

今後このクラブと腕の使い方に合った体の使い方をマスターすることで更に飛距離と方向性を追求することが可能になると思います。

石川遼を中心に回っていくであろう国内男子ツアーで、対抗馬として期待したいのが昨年の賞金ランキング6位の今平周吾です。

画像: 昨年賞金ランキング6位の今平周吾(写真は2018年の東建ホームメイトカップ 撮影/岡沢裕行)

昨年賞金ランキング6位の今平周吾(写真は2018年の東建ホームメイトカップ 撮影/岡沢裕行)

今平の武器は昨年パーオン率70.45で2位となった正確なショットです。彼はフロリダのIMGゴルフアカデミーでレッドベター理論を学んだことで、再現性の高いスウィングを身に付けた選手。ドローもフェードも思い通りに操ることのできる質の高いスウィングは世界で戦うレベルにあると思います。

「今年のオフは100ヤード以内のショートゲームを集中的に練習してきました。具体的には50ヤードをPSで抑えて打つような練習をしてバリエーションを増やしました。とくにパー5での取りこぼしが多かったので、バーディ数を増やすために3打目のピッチショットを重点的に取り組みました」(今平)

今平は自らのフィーリングやイメージを重視する感覚派だと話していましたが、実際にはスタッツの傾向を冷静に分析し、弱点を補強する対策を入念に行って新シーズンを迎えました。

「パッティングは悪くなるとアッパーブローが強くなりすぎてすくい上げてしまうので、ダウンブローに打つようなイメージで打つようにしました」(今平)

パッティングに関しても、測定機器などを使わずに、自分の傾向から何をすればベストな球の転がりが得られるのかを研究して、課題を絞って取り組んでいます。アマチュアだけではなくプロも技術的にいろいろと試したくなるものですが、変えるべきところと変えないところを明確にして取り組む今平は分析力に長けた選手だと思います。

自らの意思で高校を中退し単身渡米する行動力とは裏腹に、話してみると穏やかな表情で一つ一つ言葉を選びながら語るタイプの選手の今平。決して多弁ではありませんが、しっかりと考えて返答をしてくれたことは好感が持てました。

いくら優秀なコーチに教わっても、自ら考え、工夫することができない選手は決して伸びることはありません。ゴルフにおいて彼のじっくり考えて的確な決断を下すスタイルは彼の強みだと思います。今年は今平の「熟考力」に期待したいと思います。

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