マスターズを32位タイで終え、現在休養中のタイガー・ウッズ。次に照準を合わせるのは、10年前に最後のメジャータイトルを手にした全米オープンだ。3年ぶりにエントリーを済ませたタイガーのナショナルオープンでの激闘の歴史を、ゴルフライター・川野美佳が振り返ってみた。

タイガーの次なるターゲットは全米オープン

本気で狙った4度目のグリーンジャケットに届かなかったマスターズ直後、タイガーはインタビューに答え「この日が来るまですごく張り詰めた時間を過ごしてきた。これからはしばらくクラブをクローゼットにしまって、ゴルフから離れることにするよ」と語っていた。

心配無用。これはタイガーにとって“恒例行事”。全盛期から毎年マスターズ明けは3週間から1カ月ツアーを休み英気を養ってきたからだ。

そんなタイガーにとって次なるターゲットは全米オープンだ。08年トリーパインズの死闘を制し14勝目を挙げて以来足踏みしているメジャー勝利更新が最大の目標だ。

じつは08年の優勝で得たメジャー10年シードが今年で切れる。ツアー通算79勝の永久シード選手であっても来年以降の全米オープンは世界ランクトップ50以内に返り咲かない限り出場できない。もちろん現在89位だからも返り咲くのは時間の問題だが……。

ここでタイガーの全米オープンの戦いの歴史を振り返っておこう。初優勝はペブルビーチGLで行われた2000年大会。後続に15打差をつける圧勝で“タイガースラム”(2001年のマスターズまでメジャー4連勝)の口火を切った。

2年後には難コース、ベスページ・ブラックCでフィル・ミケルソンに3打差をつけ2勝目。3勝目は2008年。ヒザの痛みに顔を歪ませながらロッコ・メディエイトとの18ホールに及ぶプレーオフを戦い、それでも決着が着かず延長戦にもつれ込む難産の末の栄冠だった。

画像: 72ホール目で首位に追いつき、渾身のガッツポーズを見せたのが2008年の全米オープン。あれから10年が経った

72ホール目で首位に追いつき、渾身のガッツポーズを見せたのが2008年の全米オープン。あれから10年が経った

今年の舞台は全米アマチュアチャンピオンとして初出場した95年と同じシネコックヒルズ。そのときは第2ラウンドで手首を痛め途中棄権というほろ苦い全米オープンデビューだった。

出場19回で優勝3回、2位2回、3位1回。予選落ちは最愛の父・アールさんを直前に亡くした2006年と腰痛に悩まされていた2015年の2回。

こんなデータもある。1997年のマスターズでメジャー初優勝を挙げてから2008年の全米オープンで14勝目を挙げるまでの12年間で43回メジャーに出場したタイガーがマークしたトータルスコアは驚くなかれ通算126アンダー! アンダーパーさえ難しいセッティングで平均3アンダーをマークし続けた計算になる。

その期間、メジャーに同じ数だけ出場した選手でタイガーの次にトータルスコアが良かったのが平均1.5オーバー、トータル63オーバー。次点の選手にじつに189打差をつけたことになる。一周まわってタイガーの凄さを忘れかけている方々にこの数字を捧げたい。

画像: 全米オープン4勝目、メジャー通算15勝目を手にすることができるか?(写真は2008年の全米オープン)

全米オープン4勝目、メジャー通算15勝目を手にすることができるか?(写真は2008年の全米オープン)

42歳という年齢の壁は否めない。だが タイガーの底力を侮ってはいけない。腰痛を克服しメジャーで戦う喜びと興奮を思い出した虎が、USGA(全米ゴルフ協会)が威信をかけ優勝スコアをイーブンパーに設定する難関で雄叫びを上げるか?

次にタイガーが見られるのは5月第1週のウェルズファーゴ選手権、あるいは小平智が出場する第5のメジャー、ザ・プレーヤーズ選手権になる見込みだ。

撮影/岩井基剛

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