東建ホームメイトカップ、パナソニックオープンと、2試合続けて最終日最終組でプレーしている片山晋呉。同年代のシード選手がめっきり少なくなる中、45歳になってもまだまだ優勝争いに顔を覗かせている理由はどこにあるのか!? プロゴルファー・中村修がその理由を解説した。

もしかしたら、ツアーで一番個性がないスウィングをしているのは、片山晋呉選手かもしれません。一言でいって、オンプレーン。インパクトのときのシャフトの角度に沿って一枚の板の上をなぞるようにクラブが下りてきます。

インパクトのときのシャフトの角度にダウンスウィングの早い段階から重なってくる。そのときにフェース面がしっかりとボールを飛ばそうと思っている方向に向いている。だから、曲がらずに目的地に向けて飛んでいく。

ゴルフとはそもそも、狙ったところまでボールを運ぶ、その精度を競う競技ですが、片山選手は余計なことはすべて削ぎ落とし、「狙ったところに真っすぐ運ぶ」ことだけにスウィングを特化させているように思えます。その結果としての個性のなさ。それは、無駄のなさと言い換えてもいいでしょう。

画像: インパクト時のシャフトの角度に沿ってクラブが滑らかに下りてくるオンプレーンスウィングが代名詞だ(写真は2017年のKBCオーガスタゴルフトーナメント 撮影/大澤進二)

インパクト時のシャフトの角度に沿ってクラブが滑らかに下りてくるオンプレーンスウィングが代名詞だ(写真は2017年のKBCオーガスタゴルフトーナメント 撮影/大澤進二)

オンプレーンとスクェアフェース。これは、どちらもスウィングの基本中の基本です。そして、片山選手はこの誰もが重要だと認識しているふたつの基本の精度がちょっと異様なまでに高いのです。「正しい動きができる」のではなく「正しい動きしかできない」という練度にまで、それは到達しているように思えます。

なぜ、片山選手はこれだけの境地にたどり着けたのか。理由はシンプルです。それは、一生懸命練習したから、というもの。たとえば片山選手の代表的な練習法に「右手一本打ち」がありますが、これを片山選手は若い頃から今に至るまでひたすら続けているといいます。だからショットだけでなくアプローチも非常に上手いんです。

画像: 片山が愚直なまでに続ける「右手一本打ち」(写真は2017年のISPSハンダマッチプレー 撮影/岡沢裕行)

片山が愚直なまでに続ける「右手一本打ち」(写真は2017年のISPSハンダマッチプレー 撮影/岡沢裕行)

常に進化したい、もっと上手くなりたいと考えないプロゴルファーはいません。ですが、そのためにたったひとつのことを延々と続けられるかと問われれば、それは決して簡単ではないんです。やはり、どうしても新しい手法、違う方法を試したくなるからです。

片山選手の場合、人一倍新しい練習器具や、練習ドリルの情報には敏感で、誰よりも早くそれを取り入れますが、その取り入れ方がうまいんです。当たり前ですが、自分に合うものしか取り入れない。オンプレーンに振ってスクェアに当てる。すべてはそこに集約されています。

様々な練習器具を取り入れて練習する、通称“シンゴ打席”は有名ですが、年々道具は変われど、オンプレーンに振るという目的にはブレがありません。

画像: 練習器具を駆使してスウィングを磨きあげる通称“シンゴ打席”(写真は2017年のゴルフ日本シリーズJTカップ 撮影/中村修)

練習器具を駆使してスウィングを磨きあげる通称“シンゴ打席”(写真は2017年のゴルフ日本シリーズJTカップ 撮影/中村修)

片山選手は、2009年のマスターズで自己最高位となる4位となり、しばらくの間モチベーションの低下に悩まされたことは有名ですが、驚くべきことに、まさにその期間にあたる2010年から2012年にかけてとデビュー直後の数年間を除いて、キャリアのほぼすべてで賞金ランクトップテンをキープしています。

つまり、調子の波がない。そして、大きな怪我もしていない。だからずっと、強いまま。ツアー自体は随分と若返ってきましたが、まだまだ中心選手として活躍する片山選手。まだまだ衰える気配はありません。

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