PGAツアーを制覇した小平智の凱旋試合として注目を集める中日クラウンズは今年で59回目を迎える。開催期間が4月26日~29日とちょうどゴールデンウィークと重なることもあり、多くの観客が見込まれる大会だ。今年はどのような試合を見せてくれるのか、ツアー通算9勝の佐藤信人に試合の展望を聞いてみた。

2017年大会は宮里優作が優勝したが今年は?

今週は中日クラウンズに注目してみたいと思います。2010年のチャンピオンで新選手会長の石川遼選手、ヨーロピアンツアー帰りのディフェンディングチャンピオン宮里優作選手、そしてRBCヘリテージで日本人5人目のPGAツアー優勝を成し遂げた小平智選手が同組ということで予選ラウンドはこの組がほとんどのギャラリーを持っていきそうです。

この試合は日本ツアーの中では日本プロゴルフ選手権、関西オープン、日本オープンに次いで歴史が長く、1960年から始まり今年で59回目を迎えます。

第1回から毎年同じコースで行われ、日本ツアーでは珍しい毎日全員1番ホールから出て行くワンウェイスタート。ゴルフ熱の高い名古屋地区でゴールデンウィークと重なることもあってギャラリーが多いこの試合はマスターズとどこか似ているところがある春の祭典といった雰囲気です。

画像: 米ツアーで結果を残した小平智(写真右)と欧州ツアーに参戦中の宮里優作(写真左)も中日クラウンズに出場する(写真/2018年のマスターズトーナメント、撮影/姉崎正)

米ツアーで結果を残した小平智(写真右)と欧州ツアーに参戦中の宮里優作(写真左)も中日クラウンズに出場する(写真/2018年のマスターズトーナメント、撮影/姉崎正)

第1回中村寅吉さんの優勝に始まり、杉原輝雄さんが51年連続出場という世界記録を樹立し、A・パーマーやJ・ニクラスといったレジェンドたちもかつて出場し、S・バレステロス、G・ノーマン、D・ラブやJ・ローズといったメジャーチャンピオンたちが歴代優勝者に名を連ねている歴史ある貴重な大会です。

名古屋ゴルフ倶楽部和合コースは6545ヤードという短いコースで、天気が穏やかでグリーンもさほど硬くなければ凄いロースコアも出ます。春の気まぐれな強風が吹いて、コースコンディションが硬くなると一気に難易度が変わります。

優勝スコアも宮瀬博文選手が勝った2003年や松村道央選手が勝った2013年のように2アンダーなんていう難しい日本オープンみたいな年もあれば、石川遼選手は2010年の最終日に58というとんでもないスコアを叩き出して逆転優勝をしています。

画像: 2010年大会では最終日に12アンダーの「58」を叩き出した石川遼が大逆転した(写真/2010年の中日クラウンズ、撮影/岩井基剛)

2010年大会では最終日に12アンダーの「58」を叩き出した石川遼が大逆転した(写真/2010年の中日クラウンズ、撮影/岩井基剛)

このコースの面白さは攻略法がバラエティーに富んでいるという点にあると思います。1番ホール中継が毎年放送されますが、この短いパー4ではドライバーで1オンを狙う人、3Wや5Wでフェアウェイを狙う人、アイアンで右に打って2ndでフルショットの距離を残す人など様々です。

1998年のセカンドラウンドで中嶋常幸さんは、非常にレアなスタートホールのパー4でのホールインワン(アルバトロス)を決めました。2001年大会では、アダム・スコットが1オンを狙いに行って引っ掛けて2番ホールの池(推定350ヤード?)に入れてしまい、その飛距離は当時の我々には驚愕でした。

ショートアイアンでベタピンのバーディもあればボギーも簡単に出ますし、硬いグリーンに手こずってダブルボギーというのも時々見かけます。この1番ホールに象徴されるようにいろんなことが起きるのが和合です。パー4やパー5のティーショットを全員がドライバーで打つなんてホールはひとつもありません。ある人はドライバー、ある人はフェアウェイウッド、ある人はアイアンといった具合にクラブ選択が多様なホールばかりで、特に優勝争いが行き詰まってくる終盤の数ホールは選手がどういうマネジメントをするのかとても見ものです。

昨年は最終18番で宮里優作選手が下りのパットをねじ込んでの優勝。あんなに外れそうに見えて入ったパットを見たことがありません。現在自宅を構える地元名古屋のファンの後押しがあったかのような入り方でした。

さて今年は難コース和合でどんなドラマが待っているのでしょうか……。

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