国内女子ツアーは8戦が終了。目下ドライビングディスタンス1位は261.53ヤードで穴井詩、2位は260.59ヤードで葭葉ルミで、その差はわずか1ヤード以下。平均飛距離260ヤードを超えるのはツアーでこの二人だけだ。飛距離女王レースをリードする二人のスウィングを、プロゴルファー・中村修が解説。

飛ばし屋二人を比べたら……そっくりだった!

二人のスウィングそれぞれを分析したことはありましたが、比較したのは今回がはじめて。比べてみると、すごく似ていてビックリしてしまいました。

まず見てもらいたいのはトップです。二人とも、体重がやや右に移動し、右サイドにしっかりと荷重しながら上体をねじりパワーを貯めています。ふたりとも、正面からの写真であるにもかかわらず、右肩がしっかりと見えています。これは、90度以上体をターンさせているということ。飛距離を生み出すためには、やはり体をしっかりとねじることが大切であることを、改めて教えてくれますね。

画像: 不動の右足、体のターン、手の高い位置、シャフトの角度……実によく似ている

不動の右足、体のターン、手の高い位置、シャフトの角度……実によく似ている

トップでのポイントは、不動の右足です。ただ体をねじればいいというわけではなく、右ひざが流れないように足の裏でしっかり地面を踏みしめることで、下半身のねじれと上半身のねじれの両方のパワーを貯めることができるんです。

地面反力を使う穴井と下半身に余裕がある葭葉

次に見てもらいたいのはインパクト直前のコマ。二人ともしっかりとビハインドザボールでボールにエネルギーを最大限に伝えられる準備が整っていますが、この画像からは二人のタイプの違いも見えてきます。

見てもらいたいのは、左ひざです。穴井選手は左ひざがピンと伸びていますが、葭葉選手の左ひざは曲がったままで、余裕を感じます。

画像: インパクト直前には飛ばし方の個性が現れる。ポイントは左ひざだ

インパクト直前には飛ばし方の個性が現れる。ポイントは左ひざだ

穴井選手は、切り返し以降左ひざを踏み込むことで跳ね返ってくる力、いわゆる地面反力を使ってスウィングしているのです。これによりヘッドスピードを上げているわけですね。クルマにたとえるならば、葭葉選手は排気量の大きなアメ車タイプ。それに対して穴井選手はダウンサイジングターボタイプという印象です。

最後に、面白いデータを紹介しましょう。飛距離ランク1位の穴井選手は、フェアウェイキープ率ランク54.5455%で86位。そして飛距離ランク2位の葭葉選手は、54.0816%で、なんと87位なんです。つまり、飛距離もフェアウェイキープ率も、それぞれひとつだけ、それも極めて僅差で穴井選手が上にいるわけです。

よく似たスウィングを持つ飛ばし屋二人。シーズン終了時点で、彼女たちの飛ばし対決がどう決着するのか、今から楽しみです。

写真/大澤進二

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