ニュージーランド出身のフランク・ノビロは欧米ツアーで活躍したあとテレビ解説者として人気を博している。人格者として知られるノビロがゴルフオーストラリアに語ったゴルフの危機とは?

プロとアマチュアのゴルフが「まったくの別物」でいいのだろうか

「プロのゴルフとアマチュアのゴルフがこれほどかけ離れてしまったことはない。現状がどれほど危険なことか、我々は自覚しなければならない」(ノビロ)

プロ、アマを問わず我々はゴルフという統一されたゲームをプレーしていると認識している。だがノビロは「まったくの別物」だというのだ。

「メーカーが開発する最新のテクノロジーは本来アマチュアゴルファーのためのもの。ところがその恩恵をもっとも受けているのがプロで、彼らは限度を超えた飛距離を紡ぎ出している」

300ヤード超えが当たり前になった昨今、世界ランク1位のダスティン・ジョンソンは3月末に行われたWGC-デル・マッチプレーで489ヤードをマークした。確かにアマチュアとは異次元のゲームをプロたちは戦っている。

画像: 飛ばし屋といえばこの男、ダスティン・ジョンソン。WGC-デル・マッチプレーでは489ヤードをマークした(写真は2018年のマスターズトーナメント)

飛ばし屋といえばこの男、ダスティン・ジョンソン。WGC-デル・マッチプレーでは489ヤードをマークした(写真は2018年のマスターズトーナメント)

「58歳の私が現役のころプロアマでアマチュアにアウトドライブされたことはたまにもありました。でもいまはどんなに飛ばないプロでもアマチュアにアウトドライブされることはない。5番アイアンで楽々アマチュアのドライバーを超えていきます」

ではそこにある問題はなんなのか? どう解決すれば良いのか? ジャック・ニクラスやゲーリー・プレーヤーが以前から指摘しているように「飛ばないボールに戻すべき」だとノビロはいう。

セントアンドリュース、オールドコースではプロたちが次々と60台前半のスコアをマークするためR&Aは苦渋の決断でコースの距離を伸ばすことになった。往年の名プレーヤーたちからは「もはや我々の知っている聖地ではない」との声も。

ニクラスが主宰するメモリアルトーナメントの舞台ミュアフィールドビレッジGCでも「選手たちがあまりに飛ばすものだからヘンなところにバンカーを増設しなければならなくなった。景観が損なわれたよ。本来もっと美しいコースなんだが」と帝王も現状を嘆いている。

「ハンディキャップとティの位置によってすべての人が同じように楽しめる。それがゴルフの最大の美点であり魅力でした。でも最近プロとアマチュアが一緒に楽しめなくなりつつある。ある程度(ボールの)制限しないとこの差はもっと広がってしまうでしょう。ゴルフというゲームの未来を憂いずにはいられません」(ノビロ)

ノビロは決して「あのころは良かった」とノスタルジックに語っているわけではない。古き良き時代という表現では済まされないほどプロとアマの格差が開いてしまったことに警鐘を鳴らしているのだ。

用具メーカーだけでなくゴルフ界全体がゲームの未来を考えなければならない時代にきているのかもしれない。

写真/姉崎正

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