先週行われた中京テレビブリヂストンレディスオープンで、首位と2打差の2位タイと惜しくも優勝を逃した小祝さくら。すでに勝利を挙げている勝みなみや畑岡奈紗、新垣比菜と同学年の黄金世代の一人である彼女は、黄金世代4人目のツアー覇者となることができるか? プロゴルファーの中村修がそのスウィングを分析した。

「トータルドライビング2位」が表すものとは?

2017年にプロテストに合格し、同年のファイナルQTを9位でフィニッシュ。プロ1年目で早くもレギュラーツアーで優勝争いをするなど、黄金世代の名に恥じぬ活躍を見せている小祝さくら選手。同年代では畑岡奈紗、勝みなみ、新垣比菜選手らがすでにレギュラーツアーで優勝を経験しており、続くことができるかどうか注目です。

小祝選手のスウィングを分析する前に、トータルドライビング(ドライビングディスタンスとフェアウェイキープ率を合算したランキング)がツアー全体で2位だということを抑えておく必要があります。これは方向性の良さ(ランク23位)と飛距離(ランク26位)を両立できているということ。

1位は昨年の賞金女王で今シーズン3勝の鈴木愛。3位は今シーズン2勝を挙げているアン・ソンジュと実力者二人の間に割って入っているのです。

画像: 2018年の賞金ランキングは現在26位の小祝さくら(写真/2018年のワールドレディス サロンパスカップ、撮影/大澤進二)

2018年の賞金ランキングは現在26位の小祝さくら(写真/2018年のワールドレディス サロンパスカップ、撮影/大澤進二)

そのスウィングを見てみると、動き出しが非常にスムーズなのが印象的で、ちょっと大げさに言えば素振りか実際のスウィングか見間違うほど。彼女のスウィングは背中がスウィングの早い段階から大きく動くのが特徴ですが、素振りのように振れるのもそこに秘密があります。

小手先ではなく、背中の大きな筋肉を使って動き出すため、素振りと本番のリズムが揃い、つねに同じテンポ、同じリズムで打てる。だからこそ、本番と素振りの力感までが揃ってくるわけです。緊張した場面では、ついリズムが早くなったり、逆にゆるんだりするものですが、彼女の場合、緊張してもリズムの狂いが少なく、それは間違いなく強みと言えると思います。

「素振りみたいに振ればいいよ」そう言われたことのあるゴルファーは多いはず。しかし、それが簡単ではないことも、ゴルファーならば理解できると思います。

さて、スウィング写真を見てみると、始動と同時に背中が大きく回転し右の股関節でバックスウィングのエネルギーをしっかりと受け止めていることが分かります(写真1)。これにより、素振りと見紛うようなスムーズなスウィングながら、しっかりと飛距離を出せているのです。

画像: 写真1.右の股関節でどっしりと受け止めている(写真/2018年のワールドレディス サロンパスカップ、撮影/姉崎正)

写真1.右の股関節でどっしりと受け止めている(写真/2018年のワールドレディス サロンパスカップ、撮影/姉崎正)

続いて写真2から方向性を見てみましょう。左の写真のヘッドの向きに注目してください。早い段階でフェースがボールを向いてインパクトに向かってきて、インパクト後までスクェアにヘッドを押し込んでいます。

つまり、インパクトゾーンでフェースが真っすぐに動く時間が長い。これは曲がらないわけです。また、手でフェースを真っすぐに動かそうとしているわけではないから左ひじが抜けておらず、しっかりとフェースローテーションを入れています。それでこれだけ長いインパクトゾーンを作れるのだから、トータルドライビング2位も納得です。

画像: 写真2.フェース面の向きに注目。フェースローテーションをしっかりしているが、インパクトゾーンを長くしていることが分かる(写真/2018年のワールドレディス サロンパスカップ、撮影/姉崎正)

写真2.フェース面の向きに注目。フェースローテーションをしっかりしているが、インパクトゾーンを長くしていることが分かる(写真/2018年のワールドレディス サロンパスカップ、撮影/姉崎正)

ブリヂストンレディスでは、最終日・最終組のスタートで緊張もあったのか、前半は少し躓きましたが、後半4連続バーディでフィニッシュしたのは自信につながったことでしょう。この自信は彼女にとって非常に大きな糧となり、次のチャンスに生かされると思います。

ツアー初優勝を挙げる日も近いのではないでしょうか。

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