サッカーW杯が開幕し、初戦で格上のコロンビアを破った日本代表。高い身体能力を持つセネガルに引き分け、次戦ポーランド戦ではグループリーグ突破が見えてきた。世界で活躍する日本代表のように、世界に挑める日本人ゴルファーはいるか!? ゴルフスウィングコンサルタントの吉田洋一郎が、その有望株を下部ツアーで見つけた。

下部ツアーで見つけたチャン・キム越えの飛ばし屋

男子の下部ツアーは今年度からAbemaTVが冠スポンサーになり、試合数や試合開催日が増えたことで、ツアー全体のレベルが上がってきそうです。

それでも現状は、ほぼ毎週行われるレギュラーツアーに比べ試合数が少ないため、粗削りな選手が多くいます。しかしこれは言い換えると、一芸に秀でた能力を持つ選手が集まっているということでもあります。一つ得意なポイントがあると観戦する側としては印象に残りやすいし、試合の見方も変わってきます。「ヒーローもの」に出てくる必殺技を持ったキャラクターはそれぞれ好みが分かれて自分のひいきが出てくると思いますが、ゴルフもそんな感じで観ると面白いかもしれません。

さて、観戦していてやはり目が行くのは飛距離が出る選手でしょう。ほぼ同じところから打って、誰が遠くに飛ばせたかというのはわかりやすいし、自分との比較もしやすくプロの技術力の高さを体験できる要素です。

飛距離というのは通常のショットやアプローチに比べ、体格や腕の長さに左右されます。理論上は腕が長いほど遠心力が大きくなり、その力がヘッドスピードを上げます。さらに「長いものを速く振るためのコツ」も、ある程度の才能だと思っています。データを取りながらスウィングを型にはめて美しくすることは比較的容易にできますが、飛距離を伸ばすティーチングはかなり高度な領域となります。

つまりネガティブなとらえ方をすると、飛距離は後天的に伸ばすのがとても難しい能力なのです。逆に言えば「飛距離が出せる」というのは、選ばれしものが持てる才能と言えるでしょう。

今季、AbemaTVツアー「ISPS HANDA 燃える闘魂!!チャレンジカップ」に出場した山浦太希はこの「飛距離が出せる」才能を持った選手の一人です。かつてツアープロだった父・記義さんの手ほどきでゴルフを覚えたと言い、身長181センチ89キロの筋骨隆々とした体型から「ヘッドスピードは振れば60m/sはいく」という、日本人としては規格外のパワーを誇ります。

画像: 山浦太希は「飛距離が出せる」才能を持った選手の一人

山浦太希は「飛距離が出せる」才能を持った選手の一人

昨年10月に参戦したHONMA TOURWORLD CUPでは、昨年の全英オープンでドライビングディスタンス1位を記録した飛ばし屋チャン・キムに次ぐ、平均飛距離308.63ヤード(4日間全体2位)を記録しました。

試合で310ヤードを越える平均飛距離を出すことができれば、多くの飛ばし屋がいるPGAツアーでも飛距離の面で苦戦することは少ないでしょう。

「飛ばしは欠かせない」という父の教え

AbemaTVツアーに参戦する中西雅樹・直人兄弟の指導もしてきたという父・記義さんのゴルフに対する考えは「飛ばなきゃ話にならない」というものだったそうです。

「飛距離が大事ということは、昔からよく言われていました。そこで僕が小さいころから取り組んだのは、重りが入ったドライバーを振るトレーニングです」(山浦)

小さい体で重いものを振るのは、筋力だけではできません。体全体を使い遠心力や地面反力などを使って、「一番速く振れる動き」を身体が見つけていきます。

ジュニアのスウィングで、深いトップや地面と蹴り上げるジャンプをするような動きは「速く振るための動き」を追求した結果なのです。

AbemaTVツアーには、他にも若手の幡地隆寛など飛ばしの能力が高くポテンシャルを感じる選手が何人かいます。

そういった選手に共通するのは「足が速い」という点です。これは走るスピードではなく、切り返し後の下半身の動くスピードの速さを指します。トップの後に「シュッ」とキレのある速い動きを見せる選手は、地面の力を効率よく使うことができ、上半身の動きも速くなります。

ツアーに出るようになると、方向性を重視するあまり上半身の動きを強くして飛距離をセーブしがちになります。そういったリミッターを外して、下半身を極限まで速く使える選手が数多く出てくれば、世界で戦える飛距離を持つ選手が増えてくることでしょう。

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