毎年恒例、夏の女子ツアーや昨年度の世界アマなど、トーナメントコースとして知られる軽井沢72カントリークラブや、昭和初期に開場した老舗コースである軽井沢ゴルフ倶楽部に並んだ敷地にある、こぢんまりとした良コースが『軽井沢プリンスホテルゴルフコース』。
9ホール・2219ヤードの小さなコースですが、地元だけでなく各地の好き者たちが集結し、楽しんでいるのが『ヒッコリーゴルフ』です。

1900年代初頭にスチールシャフトが普及するまで、ゴルフクラブのシャフトにはヒッコリー(くるみ)が使用されていました。1400年代から使われるようになったという木製シャフトは斧の柄や弓矢、テント小屋の骨組みなどに使われていたほど強靭だったそうです。
年代や製造された工場など、コレクターたちの間では、本が何十冊もできてしまいそうな奥の深い世界ですが、「昔ながらのスタイルで、気軽にゴルフを楽しんでみたい」という方にピッタリなのが、軽井沢プリンスホテルGCで実施している『ヒッコリーゴルフパッケージ』。これぞ軽井沢! という雰囲気の中、ニッカポッカで決めて楽しみたいですね。
ちなみに小誌担当も、日本ヒッコリーゴルフソサイエティ代表、アレックス・ブルースさんの手ほどきで、実際に9ホール体験してきましたが、結論から言うと、かなり魅力的です。というかすぐにクラブが欲しくなった…。

アレックス・ブルースさん。軽井沢を中心に、さまざまな場所でヒッコリーゴルフの楽しさを伝える伝道師的存在。自身の営むアンテナショップも軽井沢にあります。
hickorygolf.jp
使用するボールは昔ながらの、ラバーコアの糸巻きボール「ガタパッチャボール」。1899年に発明されたハシュケルボールが再現されれいます。
正直「振れないんじゃないかな~…」と思っていたのですが、こちらの良い所は、プラクティスホールがあること。まずプラクティスホールで、実際に打ってみて感触を確かめ、いざスタートという流れになっています。

少しだけダウンブロー気味に当ててあげると、乾いた気持ち良いインパクトの感触とともに糸巻きボールは難なく空高く。実際の飛距離は、現代のクラブとボールの組み合わせの15%減、という感じでしょうか。
いざスタート。ドライバーは160㏄ほどしかない小さなパーシモンヘッドですが、芯を少し外しても割と飛んでくれる…。芯を喰うと、シャフトの粘りが想像以上に強く、ボールは力強く飛んで行ってくれます。

出だし3ホールで1オーバー。あれ…いつもより良いぞ…。
わりとスムーズになじむことができ、ふと気づいたのが、ヒッコリークラブでラウンドしていると、人の打球にも注意が向き、自然と会話も弾むんです。「不思議でしょ? 木のクラブを振っていると自然とゆったりした気分になれて、リラックスしてゴルフできるんです」とアレックスさん。

本気で避暑ゴルフも良いけれど、たまにはこんな肩の力を抜いたラウンドも楽しいですね。