メジャー史上
最も印象深いガッツポーズ

ペイン・スチュワートは、病気に悩まされた時期があった。最初は、首の筋肉に力が入らない奇病でずっとギプスをはめてプレーしていた。次が不整脈。それでも1989年全米プロ、1991年全米オープン優勝とメジャータイトルを奪い、ニッカーボッカースタイルの伊達男は、世界中の人気者となった。

画像: 1991年の全米オープンで優勝。スコット・シンプソンをプレーオフで退けた

1991年の全米オープンで優勝。スコット・シンプソンをプレーオフで退けた

そして1998年全米オープンで2度目の優勝を目前に、土壇場でリー・ジャンセンに逆転負けを喫した。
「それも人生さ。人生ってかなりタフな道のりだってことが身に沁みたよ」

その翌年、パインハースト№2での全米オープンでは、最終日最終ホールで6メートルのパーパットを見事に沈めて、2度目の全米オープン優勝を果たしたのだった。あの拳を掲げ吼えたポーズは、忘れることのできないシーンとなったのである。

画像: 試合の途中に「(レインウェアの)袖が邪魔になる」として切り落としてプレーしたペイン。72ホール目で6メートルの長いパーパットを沈め、1打差でミケルソンを振り切った

試合の途中に「(レインウェアの)袖が邪魔になる」として切り落としてプレーしたペイン。72ホール目で6メートルの長いパーパットを沈め、1打差でミケルソンを振り切った

画像: 試合後、妻がいつ出産してもおかしくない状況で強行出場したミケルソンに対し「いい父親になれ!」と激励。このシーンも感動を呼んだ

試合後、妻がいつ出産してもおかしくない状況で強行出場したミケルソンに対し「いい父親になれ!」と激励。このシーンも感動を呼んだ

それから3カ月後。マサチューセツ州のザ・カントリークラブで開催された第33回ライダーカップで、米国チームは欧州連合チームと大接戦の末に1ポイント差で優勝を遂げた。米国チームのキャプテンは、ベン・クレンショーだった。そしてペイン・スチュワートも貴重なポイントゲッターとしてメンバーに名を連ねていた。

シャンパンを掛け合う歓喜と興奮の姿……、残念ながらペイン・スチュワートの勇姿は、これが最後だった。

画像: メジャー史上 最も印象深いガッツポーズ

1カ月後の10月25日。彼は、フロリダ州オーランドの自宅から、テキサス州ヒューストンで開催される「ザ・ツアー・チャンピオンシップ」に向かう途中、チャーターしたプライベートジェット機の墜落事故に遭い、42歳という若さでこの世を去った。(文・三田村昌鳳)

This article is a sponsored article by
''.