「子供をプロゴルファーに…」親の思いは報われるか。

2014年、15歳でプロツアー優勝を果たしたアマチュアの勝みなみ。先日のニチレイレディスでは2日目までトップを守ったが、最終日プロの意地を見せた申ジエに首位を譲り、2位に終わった。悔しさに涙を堪えきれなかった姿が印象的だった。

画像: 最終日に見せた涙は印象的だった

最終日に見せた涙は印象的だった

6歳のとき、母方の祖父のラウンドについていったのが、ゴルフを始めたきっかけ。その後、祖父の手ほどきを受けて上達するが、「クラブを大きく上げて、放り投げるように大きく振る。これしか教えていない」という。

それでも2010年、小学校6年生のときに、全国小学校トーナメントで優勝。ゴルフダイジェストジュニアカップでも準優勝をおさめる。

画像: まだあどけなさが残る小学6年生の勝みなみ

まだあどけなさが残る小学6年生の勝みなみ

中学2年生のときには全国中学校選手権春季大会を制した。さらに同年、九州女子アマ(九州女子選手権)を当時史上最年少の13歳で優勝。そしてこの年、JGAのナショナルチーム入りを果たす。2014年3月に、日本ゴルフ協会ナショナルチームとして出場したニュージーランドアマチュア選手権で、大会レコードとなる19アンダーでまわり日本人選手として初優勝を飾った。

その後も九州、全国の各大会で活躍し、日本女子プロツアーKKT杯バンテリンレディスで史上最年少優勝(15歳9カ月)を飾り、一躍時の人となった。

画像: 目標はオリンピックと公言する勝みなみ

目標はオリンピックと公言する勝みなみ

輝かしい成績を残す勝みなみ。しかし、この花道を歩けるのはジュニアゴルファーの中でもほんの一部に過ぎない。

プロへの道は大きく分けて2つ。アマチュアで活躍させるか、一目散にプロを目指させるか

プロへの道は大きく分けて2つある。まず「アマチュア界に名をとどろかせる、名門高校・名門大学のゴルフ部」コース。そして、もうひとつは「目標はズバリ『プロ』の研修生叩き上げ」コース。

名門高校・大学エリートコース

ジュニアでも練習場とラウンド代で月に10万以上。休日返上はもちろん、ジュニア選手権は基本平日なので仕事返上。さらに名門ゴルフ部に進めば、学費を含めて年間600万以上。高校から大学を卒業するまでに7年間。そこまでの覚悟はありますか?

画像: 名門ゴルフ部では、規律と礼儀を重んじる

名門ゴルフ部では、規律と礼儀を重んじる

名門ゴルフ部というと、日体荏原高、東北高校、日大、日体大、東北福祉大などが思い浮かぶ。実績も伝統もあるため、優秀なジュニアも集まる。基本的にはジュニア選手権ベスト10が推薦入学有資格者だ。が、それだけにプロの厳しさも教えられる。かつて日大ゴルフ部のコーチを務めていた佐藤文宏コーチはこう言う。

日大ゴルフ部に入ればプロになれるというイメージは困ります。プロで活躍するためには、技術だけでなくメンタルや知的な面での向き、不向きがあります。プロにするのが目的ではなく人間を磨く場だと思ってください。

こう話すように名門ゴルフ部に行けばプロになれる訳ではない。ただ、礼儀や努力など、学ぶことも多い。

研修生叩き上げコース

「そんなにプロになりたいのなら、研修生になって自分の力でプロになれ」と送り出すのもひとつ。しかし、現実は「キャディばかりで練習できない」「先輩にしごかれる」「給料が少ない」。子供の進路は正しかったんだと言い通せる覚悟があるならば、この道に進ませてもいいかもしれません。25那須ゴルフガーデンの小川清二プロはこう言う。

研修生の間は社会人扱いされませんよ。キャディをしながら研修させてもらっている身なんだ。イジメと感じるようなシゴキもあるかもしれない。でも、半人前なんだからどこに行っても同じだよ。今の子は素質的にはみんなプロになれる。

3年間、1000日ゴルフバカになること。

あとは、他人の言葉に聞く耳を持ち、人間性も磨きなさい。それが嫌なら、嫌われても平気なくらい図太い神経を持つこと。中途半端はダメ

エリートコースと比べると、叩き上げというイメージは否めない。

この会話でその差は歴然。エリートコースとたたき台コース。ここまで違うか。

ゴルフ部3人の会話

画像: ゴルフ部3人の会話

A 金持ちエリートコースの世界には不況なんて関係ないみたいだね
B 試合で成績よければクルマ買ってもらえるって奴たくさんいるもんな
A 競技会に行けば外車だらけだし。ポルシェにベンツにアウディに…
C そのベンツもでかいのだからね。そこそこのプロよりいいんじゃない。だってプロのベンツに乗って『これ僕のより小さいから楽ですね』って言った学生さんがいたらしいもんね
B 休みになるとアメリカ行ってレッスン受けてるやつもいる。1週間で100万かかるって言ってたよ
A そういえば女子の中に、次のプロテストの開催コースの会員権を次々買ってもらってるなんて娘もいたな
C それだけじゃない、近くのマンションも一緒に
B そんなことまでしたらプロになっても賞金じゃ元とれないんじゃない?
C よくわからないけど、自分の子がプロになったらうれしいらしいんだよね
A へぇ。なんか納得できないけど、金持ちのボンボンが能天気に強くなる。そんな奴が多いのもこの世界かもね
B 一般常識じゃ計れない?
A そうとも言えるよね

研修生3人の会話

画像: プロキャディという道も

プロキャディという道も

A 練習できないのが一番ツラいよね
B だってコースでの練習を禁止しているところもあるらしいもんね
C ふざけるなって感じだよな。親はよく確認しないと。キャディ要員ってとこもあるから
B こっちは練習さえできれば日の出前の出勤だって構わない。正月が嬉しいのはお客が少なくてたくさん練習できるからだもん
A みんなツラい体験とかあった?
C あるよ。コワモテの客だと必ず研修生がキャディ。女性のキャディが逃げてしまうから
B 先輩プロのいじめもない?
A プロと回るときはバッグ2つ担いでラウンドしたり、もう体力が
C 女・たばこ・酒厳禁は今も変わらないのかな?
A それで1日2000回の素振りだもん
B 近頃は科学的になったからそこまでのことはないだろうけど
A でも今でもほとんどのヤツが研修会の前に辞めちゃうんだろうね
C 研修生在籍時間2時間40分っていうのが語り草になってたよ。初日にプロがふざけておどしたら、その場でいなくなっちゃったんだって

プロになるための道のりは、思っているより険しそうだ。

実際に子供をプロにしたパパの話

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一部引用/1995年月刊ゴルフダイジェスト1月号「子供をプロゴルファーにする方法教えます」より

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