最近ゴルフ界のトレンドワードとなっている「地面反力」。ダウンスウィング初期に地面をグッと踏み、それが跳ね返るエネルギーを回転に変えて飛ばすというのが、地面反力を利用したスウィングの基本的考え方だ。12年前からこの打ち方を提唱し続けてきた吉田一尊プロに、最新かつもっとも分かりやすい「地面反力打法」のやり方を聞いた。

たとえば椅子から立ち上がるとき。僕らは無意識に「地面反力」を使ってる

地面反力って、最近よく聞くけれど、なんか難しそうだな。そう思う方は多いと思います。たしかに、「反力」などと言われると、学術用語のような印象を受けますから、それも無理はありません。

しかし、実際は多くの人がこの「地面反力」を日々の暮らしの中で使っています。たとえば椅子から立ち上がるとき。椅子から立ち上がろうと思ったら、両足で地面を踏みしめ、その反動を使って立っています。このとき、意識していなくても、無意識に僕らは地面反力を我々は使っているのです。

画像: 立つ、歩くといった日常の動作を、我々は無意識に地面反力を利用して行なっている

立つ、歩くといった日常の動作を、我々は無意識に地面反力を利用して行なっている

地面反力がまったく受け取れない、たとえば地面が全部“低反発まくら”みたいな素材だったら、立ち上がるのは難しいですよね。立つ、歩く、そんな基本的な動作から、僕らは硬い地面の力を踏みしめ、跳ね返ってくる力を借りて、生活しているんです。

さて、僕はレッスン活動をスタートした12年前から一貫して、地面反力の有効性を説いてきました。当時は今よりもスウィング=回転という意識が強く、地面を踏む、足を蹴る、といった直線的なイメージはなかなか受け入れられず、僕自身がドラコン競技に参加していたこともあり、「ドラコン専用の打ち方でしょ?」などと言われることもありました。

画像: PGAツアーの細身の飛ばし屋、ジャスティン・トーマス。見ての通り、踏み込んだ反動でジャンプするような打ち方

PGAツアーの細身の飛ばし屋、ジャスティン・トーマス。見ての通り、踏み込んだ反動でジャンプするような打ち方

最近になってようやく、ジャスティン・トーマスや、日本で言えば小平智選手など、地面反力を利用して飛ばす選手たちが世界のトップで活躍する時代になり、ようやく一般化してきたかな、と実感しています。

「真下に踏み込む」と誤解している人は多い。正解は“斜め”だ

ただ、一方で、地面反力を利用した打ち方に関しては、まだまだ多くの方が誤解しているのが現状です。一番の誤解は、「どうせ俺にはできないだろう」というもの。大きな誤解で、この打ち方はコツさえつかめば誰でもできて、誰でも飛距離アップが可能です。条件は「立って、歩ける」ことくらいでしょうか。

そしてもう一つの誤解が、「地面反力=真下に地面を踏んで、真上に跳ね返る動き」というものです。冒頭に例として挙げた椅子から立ち上がる動作であれば、たしかに真下に地面を踏み、真上に跳ね返るエネルギーを使うことになりますが、ゴルフスウィングの場合、真下に踏み込むと、前傾角が起き上がってしまい、かえってミスを引き起こしてしまいます。「踏めばいい」というわけではないんです。

画像: 悪い例。真下に踏み込むと、体が起き上がってしまい、打点が安定しない

悪い例。真下に踏み込むと、体が起き上がってしまい、打点が安定しない

僕の考える正しい地面反力打法では、トップからの切り返しで、左足でボール方向に踏み込んでいきます。このとき、左ひざがグッと前に出てきますが、それで問題ありません。イメージ的には、構えたときのシャフトの角度に沿って踏み込み、同じ角度で跳ね返ってくるエネルギーを利用して、斜め後ろに蹴る感じです。

このように、斜めに地面反力を使うと、前傾角度が崩れず、エネルギーをボールに集めることができるようになるんです。

画像: 良い例。切り返し以降は斜め前に踏み込み(写真左)、跳ね返る力を利用して、斜め後ろに蹴る(写真右)

良い例。切り返し以降は斜め前に踏み込み(写真左)、跳ね返る力を利用して、斜め後ろに蹴る(写真右)

細かいやり方は今後の連載の中で解説していきますが、まずは「地面反力は斜めに使うもの」ということを頭に入れておいてください。

取材協力:西麻布ゴルフ倶楽部

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