シン・ジエの優勝で幕を閉じた「大王製紙エリエールレディスオープン」。2017年の女子ツアーはいよいよ最終戦の「LPGAツアーチャンピオンシップリコーカップ」を残すのみとなり、賞金女王争いは、可能性はそれぞれ大きく異なれど、鈴木愛、キム・ハヌル、イ・ミニョン、シン・ジエの4人に絞られた。そんな“女王の最終候補”たちのスウィングに共通点は見出せるのか。プロゴルファー中村修が解説する。

体重移動の鈴木愛に対して韓国勢は「その場回転」

韓国人選手3人に、鈴木愛選手が唯一日本勢として名を連ねる2017年の賞金女王争い。自身が単独6位以上の順位であれば初の賞金女王が確定し、他の3選手は優勝が絶対条件と、有利な立場で最終戦を迎える鈴木愛選手のスウィングは、他の3選手と大きく異なっています。

トップの写真を見比べてみると、鈴木選手の体重移動の大きさが一目でわかります。まるで寺の鐘を打つときのように大きく体を揺さぶることで、ボールにエネルギーを集中させる体重移動の大きなスウィングです。

画像: 左から鈴木愛、キム・ハヌル、イ・ミニョン、シン・ジエ

左から鈴木愛、キム・ハヌル、イ・ミニョン、シン・ジエ

一方のキム・ハヌルやイ・ミニョン、シン・ジエは左右の移動は少なくどちらかというとその場で回転するスウィングと言えます。

大きく上体を右に移動させている、体重移動の大きい鈴木選手、その場で回転する韓国の3選手、どちらが優れているということはありません。

鈴木選手の場合は飛距離を求める過程で横方向に大きく体を使うスウィングを身に付け、韓国勢は国家代表に選出されるべく、ジュニア時代から同じメソッドの中で育ってきたところが垣間見えます。

韓国勢はベタ足で振り抜く

続いて、インパクト以降、フォローの画像を見てみましょう。ここでも、鈴木選手と韓国人選手たちの違いは明らか。まず目につくのが右ひざの位置です。イ・ボミもそうであるように、韓国選手の特徴は右のかかとを上げないベタ足スウィング。

3選手とも右のかかとが完全に接地しているわけではなく、わずかに浮いてはいますが、真下に踏み込むように使い、体重も右に残しています。

一方の鈴木選手はスタンス幅も広く、横方向に大きく体重移動しつつ右足を蹴るように使っています。飛ばすためにかかとは浮き、右ひざもターゲット方向に押し込まれています。回転で打つ韓国勢に対して、体重移動で飛ばす鈴木愛という飛ばしのタイプの違いが見て取れます。

画像: 一番左の鈴木は右足を蹴りながら大きく体重移動している一方、韓国の3選手はベタ足

一番左の鈴木は右足を蹴りながら大きく体重移動している一方、韓国の3選手はベタ足

これだけ違って見える彼女たちのスウィングにも、共通点はあります。それは、左腕を胸の上に乗せた状態で、しっかりと左わきが締まっている点です。下半身の使い方は違っていても体から腕を離さないようにすることで、手打ちにならず、体主体の安定した軌道で打つところは共通しているわけです。

タイプは異なれど、左腕が体から離れないのはゴルフの「基本」と言っていい。アマチュアゴルファーのみなさんも、ぜひ参考にしてみてくださいね。

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