バンカーからのショットを打った後、砂を均すのに使う「レーキ」。普段何となく使っているだろうが、使用後レーキを外と中どちらに置くか気にしたことはあるだろうか? ゴルフマナー研究家・鈴木康之の著書「ゴルファーのスピリット」からレーキの正しい置き場所についてご紹介しよう。

レーキを置いていい場所、悪い場所

あなたは昨日プレーしたコースでレーキをバンカーの外に置いてきましたか、中に置いてきましたか。それはそう置くのがそのコースの決まりだったからですか。この質問は、わが国では即答できるゴルファーが10人に1人いるかどうか甚だ心もとない類の質問です。

日本のほとんどのコースはレーキをバンカー外に置いてきました。これはルールではありませんが、ゴルフ規則裁定集に1992年から「バンカーから少し離して置いておくのが望ましい」と記されてきたことに従ってきたからです。

ところが、このゴルフ規則裁定集を作っているR&Aの目の前のオールドコースはもちろん、私の知る限り英米のほとんどコースではレーキは中置きです。実際、バンカーに近付いたら最後、ボールが転がり込むように周辺が傾斜しているリンクスコースではバンカーの外側にレーキを置いておけるしかるべき場所はありません。ボールのあるがままの転がりを妨げるような人工物を、コース上に置くのも見えるのも嫌がるのがゴルフの伝統的なセンスです。

日本では相模CC、小金井CC、鳴尾GC、中津川CCなどが早くから中置きでした。10年ほど前(※刊行当時、編集部注)から少しずつ中置きのコースが増えてきました。太平洋クラブは系列の全コースで中置き式に切り替えました。(※2016年11月より外置きに変更)

画像: ショットのあとにバンカーを均す「レーキ」の置きどころ問題。バンカーの外ではなく中のほうが正しい?

ショットのあとにバンカーを均す「レーキ」の置きどころ問題。バンカーの外ではなく中のほうが正しい?

日本のほとんどのゴルファーは外置きに慣らされてきました。ですから、中置きのコースへ行くと、バンカーショット後みんな外へ置いてしまう。メンバーの組が来て中へ置き戻すのですが、次の組のゲストがまた外へ出す。いたちごっこで埒があきません。

外に置くと、ボールの行方を決定的に左右する邪魔ものになります。花道あたりには外に置くべき適切な場所はありません。

柄をバンカーの縁にかけて浮かせる中置きならボールが当たる可能性は極めて少なくなります。中置きはビギナーの目にも止まりやすく、ならし忘れが少なくなります。1バンカーあたりの本数が少なくてすみ、邪魔も経費も少なくなります。

私は中置き論者ですが、外置きと決められているコースでは仕方なしに外に置きます。1ホール目に見れば分かります。エスカレーターの立ち方と同じ、決まりには従わなければそこの秩序を乱します。

R&Aは窓の外の景色との矛盾をさすがに具合い悪しと見たのでしょうか、裁定集の2000年度版でレーキの置き方の項をほぼ1ページを使って書き変えました。しかし文字数の割には論旨は不明快。そしておしまいに「いずれにせよ」どこに置くかは各々のコースの「委員会マターである」と匙を投げた風な結び方です。はじめからこの一言でよかったのです。

「ゴルファーのスピリット」(ゴルフダイジェスト新書)より

写真/三木崇徳

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(内容の一部修正致しました2018年5月1日11時40分)

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