ウェッジに書いてあるアルファベットの読み解きかた
現代のウェッジで主にアルファベット表記されているのが、
PW(ピッチングウェッジ)
AWもしくはPS(アプローチウェッジ、ピーエス※ピッチングサンドとも)
SW(サンドウェッジ)
LW(ロブウェッジ)
などがある。まずウェッジの成り立ちの話になるが、歴史的に一番浅いのはAW(PS)だ。そもそもウェッジは、PWとSW、それに用途が限定されたLWしか存在しなかった。このAWという存在を生み出したのは、日本ゴルフ界のレジェンド「ジャンボ尾崎」。1984年自身が監修したクラブにPSという表記でPWとSWの間のロフトのクラブを初めて登場させ、瞬く間にゴルフ界に浸透。
当時契約を交わしていたブリヂストンスポーツはいまだにこの当時のPSという表記を使っているが、他メーカーはAWという表記を使用している。アプローチウェッジと呼称するが、メーカーがゴルファーに分かりやすいようにと命名しただけで、決してアプロ―チ(グリーンの近い位置からピンに寄せる事)の時に一番適しているという意味ではない。存在としては、あくまでPWとSWの間に位置するロフトのクラブをそう呼ぶだけである。そう、呼び方はロフトの違いによるものだ。

PやSWやAWといった呼び方の違いはロフトの違いによるものだ
PWのピッチングとはボールを上げるという意味があり、ボールを上げてピンに寄せるためのクラブ。しかし、「だった」というのが正しい。昔はSWの次にロフトのあるクラブだったので確かにボールを上げるショットがしやすかったのだが、今ではロフトのストロング化(アイアンの飛距離を出すためにロフト角を少なくすること)が進み、決してボールを上げやすいクラブではなくなってしまった。
PWはほとんどの場合、アイアンのセットに組み込まれており、ウェッジの名がついているが実質はフルスウィングするアイアンとして設計されているので、昨今の単品で販売されているウェッジよりも、スピンを抑えてある分、安定した飛距離が出しやすい。ただその単品ウェッジにもPWに相当するロフトバリエーションが用意されているので自身で飛距離が出せるなら差し替えて使うのも手だ。
SWはサンドウェッジと読み、文字通りバンカーなどの砂地から打つために生まれたクラブだ。バンカーは砂地であると同時に窪地になっていることが多いのでロフト角が多くつけられている。そして砂に潜り込まないようにバウンスと呼ばれるソールに設けられた出っ張りが他のウェッジより多めについていて、砂などにヘッドが潜り過ぎないように設計されている。

アルファベットで書かれている場合と数字が書かれている場合がある
最近のウェッジは、このバウンスの形状の研究が進み、使い勝手が向上したためサンドウェッジとして使用されるロフト角でもバンカー以外のアプローチでも使用されることが多くなっている。
LWはロブショット(フワッとした高い弾道で転がりを抑えた打ち方)が打ちやすいように設計されているウェッジ。ロブショットはフェースで打つというよりもボールの下にヘッドをくぐらすように通して、ボールを浮き上がらせるショットなためソールの出っ張りであるバウンスはSWより少なめになっていることが多く、ロフト角も60度以上の設定になっていることが多い。
ロフト角によって違う? ウェッジの呼び方と打ち分けの目安
現代のクラブでの各クラブのロフト設定は
PW:42~47度
AW(PS):45~52度
SW:54~58度
LW:60度以上
となっており、飛距離は打つ人のヘッドスピードによって変わってくる。
主な使い分けとしては、ごく一般的なアベレージゴルファーの目安として
PW:120~100ヤードのフルショット+キャリー3転がし7のアプローチ
AW:100~80ヤードのフルショット+キャリー6転がし4のアプローチ+距離のあるバンカー
SW:80~50ヤードのフルショット+キャリー8転がし2のアプローチ+グリーン周りのバンカー
LW:50~30ヤードのフルショット+キャリー9.5転がし0.5のアプローチ
中上級者になればスピンコントロールが可能になってくるため、球筋にアレンジができるようになるが、テクニックがないうちはこれを基準に使い分けると良いだろう。基本的にロフト角が増えるほど、安定した距離を打つのが難しくなるので、グリーンまで障害物などがない場合は、転がしが多いウェッジを使った方が、ミスが少なくて済む。

ひと言にウェッジと言えど、その違いは知っておきたい
現在では、アイアンセットのオプションとして用意されているウェッジにアルファベット表記のモデルが多い。このAWやSWまで用意されているモデルのアイアンセットは、ミスに強いモデルが多く、そのオプションとなっているウェッジもそれに準じてミスに強いモデルとなっている。どれを買ってよいのかわからないという方は、お使いのアイアンにウェッジが用意されているのならばそれを購入するとアイアンとの流れも良く、お勧めだ。
もちろんアイアンが異なるモデルでもシャフトの重さなどを揃えれば、そういったウェッジを使うのもOK。その際は、ロフト角をあらかじめ調べておくとフルショット時の飛距離差も大体想像できるので買ってから飛距離差が大きいなんてことも防ぐことができるぞ。
撮影/田中宏幸
(本記事は2018年4月17日に公開された記事の再掲載です)
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