試合中に選手とキャディがメモを取り出して何やら確認している、という光景はテレビ中継などでもよく見かけるだろう。選手たちが手にしているのは「ヤーデージブック」。各ホールのレイアウトをはじめ、基本情報が詳細に記載された「攻略本」とでもいうべきモノだ。今では日本ツアーでも必ずと言っていいほど目にするこのヤーデージブック、一体いつ頃から使われはじめたのだろうか? プロゴルファーであり、ツアー解説者でもあるタケ小山の著書「ゴルフは100球打つより見てなんぼ!」より、ヤーデージブック日本上陸の歴史をご紹介。

ヤーデージブックは情報の宝庫

今ではツアーを戦う必需品になっているのが、プロとキャディがポケットから取り出して見ている“ヤーデージブック”です。

ヤーデージブックには、各ホールのレイアウト、グリーンやハザードの状況、距離、高低差などの基本情報が詳細に記されています。さらに、各プレーヤーやキャディが、風向きなどの必要な情報を練習ラウンドや試合中に書き足して、そのデータをもとに戦略を立てています。

海外のツアーでは、かなり昔から使われていたこのヤーデージブックですが、樋口久子さんは、77年に全米女子プロで日本人初の海外メジャー優勝を飾ったときに、キャディが使っているのを見て、初めてその存在を知ったそうです。

画像: ヤーデージブックには、各ホールの攻略に必要な情報が詰め込まれている

ヤーデージブックには、各ホールの攻略に必要な情報が詰め込まれている

日本でヤーデージブックを使うようになったのは、80年代後半からです。それまでは、歩測で距離を測る程度。現在では、当たり前のようにある、グリーンエッジまで100ヤード地点を記す印などもなく、ほとんどイメージだけで打っていました。

それでも適応できたのは、日本の古いコースのグリーンが、ほとんど“まんじゅう型”で、手前から奥まで上りという単純な作りだったから。感覚派で知られる奥田靖己さんは、93年の日本オープンでジャンボ尾崎さんに勝ったときも、「ピンポジションのシートもいらんわ。ワテの感覚や~」なんていっていましたからね。

それが、バブル経済で国内に海外の有名デザイナーが設計したコースが続々と誕生して、形状も傾斜も複雑な“ポテトチップス型”のグリーンが出てきました。しかも日本式は2グリーンで小さいですが、海外型のワングリーンは奥行が50ヤードという場合もある。そうなると、さすがに感覚だけでは対応できません。

さらに当時、日本のツアーがオープン化され、海外から参戦してくる選手が増えてくると、それに帯同しているプロキャディが当たり前のようにヤーデージブックを使っている。それで日本でも徐々にヤーデージブックが広がっていった、というわけです。

「ゴルフは100球打つより見てなんぼ!」(ゴルフダイジェスト新書)より

撮影/田中宏幸

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