身長166センチと小柄だが「ツイスト打法」で300ヤード以上飛ばす、“雑巾王子”こと武市悦宏。正しいバックスウィングのコツは、しっかりと「右折」することと「できる限り速く上げる」ことの2つだけだと武市は言う。わずか1年で飛距離を100ヤードも伸ばすことができたノウハウを詰め込んだ著書「オレって、こんなに飛んだっけ?」から、バックスウィングについてご紹介。

「右折」で上げて「左折」で下ろす

レッスン本って、スウィングについて解説するとき、だいたい「始動」から解説するよね。30センチ真っすぐ引け、とか。

しかし! 実はツイスト打法には「始動」なんて存在しないんだ。なぜなら、バックスウィングは一連の動作で、「始動」とか「ハーフウェイバック」とかに分けて考えるヒマなんてないものだから。だから、「右折の動き(クルマのハンドルを右に切るような腕の動き)で、できるだけ速く上げる!」バックスウィングに関して言うことはこれだけで、始動がどうとかは一切なしなんだわ。

少なくとも「真っすぐ上げる」は意識してほしくない。何度も言うように、ゴルフクラブは開くもの。真っすぐ上げるってことは、フェースを開かないように上げるってことだよね。それじゃ、いきなりオンプレーンじゃなくなっちゃうんだわ。

フェースはバックスウィングで開こう開こうとしているんだから、それを邪魔する必要なんてないんだ。正しいバックスウィングのコツはふたつだけ。しっかりと「右折」することと、「できる限り速く上げる」ってこと。

何度も何度もフェースは開けって言ってるけど、それを手首の動きだけでやるのは前にも言ったようにさすがにNG。クラブをクルマのハンドルだと思って、右折の動き(右にハンドルを切る動き)をすると、腕の付け根から動かされ、自然にフェースも開くでしょ? やってもらえればわかるけど、右折の動きをするだけでクラブヘッドも腕も高い位置に上がるし、カラダもつられてターンする。

よく「バックスウィングでは右わきを締めろ」なんて言うけれど、こんな風に右折の動きをすれば自然に締まるよ。自分で意識して締めたりしたら絶対ダメだからね! ただ動きがぎこちなくなるだけで、いいことなしだよ。

画像: 始動は真っすぐなどと意識せず、ハンドルを右に切るのと同じ動きとクラブを上げる。この動きだけで意識しなくても体重移動は起きる

始動は真っすぐなどと意識せず、ハンドルを右に切るのと同じ動きとクラブを上げる。この動きだけで意識しなくても体重移動は起きる

同じように、右ひじをたたむとか、トップでは岡持ちの形にするとか、右足に体重移動するとか、しっかり体をねじるとか、左肩を押し込むとか、全部意識する必要ない。むしろ、考えちゃダメ。ただひたすら右折! それもできる限りのスピードで右折する。これが飛ばしの秘訣だし、それ以前にバックスウィングをつねに安定させる秘訣なんだよ。

スウィングはできるだけシンプルにしたほうが繰り返し同じ動きができるのは常識だよね。そう、だからこそ、バックスウィングは右折するだけでいいんだ。

中でもバックスウィングでやってはいけないこと。それはズバリ。体重移動。やってはいけないというか、やる意味がないって感じかな~。もっと正確に言うと、体重移動しなくても体重は移動するんだ。

これも、自分で実験してみた。アドレスのときと同じように体重計を2台用意して、片足ずつ乗せてスウィング。それで、スウィング中の体重移動の様子を観察したってわけ。

そうしたら、高速道路で右に車線変更するくらいの、ほんのわずかな「右折の動き」をしただけで、仮に最初の状態が左50:右50の表示だとしたら、左40:右60とか、それくらいの比率で、右足側に勝手に体重が移動していた!

これには最初、僕自身がいちばん驚いた。だって、体重移動なんて一切意識しないで、右折の動きをしただけなのに、勝手に体重が右に乗ってるわけだから。それも、ほんのちょっとの動きで。

ここからわかるのは、「体重は意識しないでも勝手に移動する」ってこと。逆に、バックスウィングで右足に体重を乗せることを意識すると、体重が移動しすぎて、肝心のスウィングのバランスを崩しちゃうこともわかった。これが「体重移動はやってはいけない」、むしろ「やる意味がない」っていう理由。

「オレって、こんなに飛んだっけ?」(ゴルフダイジェスト新書)より ※webメディア向けに一部改変しています

撮影/姉崎正

This article is a sponsored article by
''.