ブルックス・ケプカの連覇で幕を閉じた全米オープン。通算アンダーパーが1人も出なかった今大会のスタッツを、統計学的データ分析の専門家であるゴウ・タナカが分析した。

難コースでもフェアウェイキープ率の重要度は低かった

シネコックヒルズGCで開催された今年の全米オープン。これまでのシネコックヒルズでの勝者は全員35歳以上であることから経験が優位に働いていた。

しかし、2004年開催時より449ヤード長く改修され、クロスバンカーなどのデザインが本来の意味を取り戻すホールが増えた今回のシネコックヒルズは、同時にフェアウェイ幅が15ヤードほど広く設定されたことにより、ロングヒッター有利な設定になったと言える。

さて、そんな今回の全米オープンのスタッツを見てみよう。優勝したのは見事に連覇を達成したブルックス・ケプカだ。去年ダンロップフェニックスで松山英樹選手ら日本人プレーヤーを圧倒したプレーを覚えているゴルフファンは多いのではないだろうか。

画像: 全米オープン連覇を果たしたブルックス・ケプカ(写真は2017年の全米オープン 撮影/岡沢裕行)

全米オープン連覇を果たしたブルックス・ケプカ(写真は2017年の全米オープン 撮影/岡沢裕行)

今回のケプカのそれぞれのスタッツだが、平均飛距離は318.3ヤードで全体2位、フェアウェイキープ率は64.29%で55位タイ、パーオン率は68.06%で4位、パーオン時平均パット数は1.65で7位タイ、バーディ数は14個で4位、パットのスコアへの貢献度は3位、スクランブリング(パーオンを逃したホールでパーかそれより良いスコアで上がる確率)は47.83%で24位だった。

次にそれぞれの部門別トップ10スタッツを見て、結果との相関を考えよう。平均飛距離トップ10のうち4人がトップ10フィニッシュ、フェアウェイキープ率トップ10では2人、パーオン率は6人で、12位タイまでにすると9人、平均パットトップ10の中には3人、バーディ数のトップ10の中には7人、11位タイまでにすると9人がトップ10に入っていた。

これらを総評すると、今回の全米オープンにおいて重要だったのは、上から、
バーディ数(トップ10のうち7人が成績トップ10入り)
パーオン率(トップ10のうち6人が成績トップ10入り)
平均飛距離(トップ10のうち4人が成績トップ10入り)
平均パット(トップ10のうち3人が成績トップ10入り)
そしてフェアウェイキープ率(トップ10のうち2人が成績トップ10入り)
の順序で重要だったという結果になった。難しい設定においても、フェアウェイキープ率の重要性はいまいち証明されないデータで、普段の平均的トーナメントとあまり変わらない分析結果だったと言えるだろう。

ちなみに最後におもしろいデータを紹介しておく。過去5回のUSオープンで4回以上予選を通っていて平均スコアがアンダーパーなのは1人だけで、それは今回の勝者ブルックス・ケプカである。彼の全米オープンへの適正を改めて示す結果となった。

This article is a sponsored article by
''.