アプローチの上達はスコアをまとめる上で手っ取り早い方法だろう。レギュラーツアーで30勝・シニアツアーで3勝を挙げたレジェンドプレーヤー・倉本昌弘は「落とし場所を決めることが何よりも先」という。自身の著書「本番に強くなるゴルフ」からアプローチ巧者になる秘訣をご紹介。

まず何よりも先に落とし場所を決める

グリーンを狙って打ったショットがグリーンを外れたとします。そのボールのライを見て、自分ができることをチェックしたら、最初に球の落とし場所を決めてください。

落とし場所は、できるだけ平らなグリーン上で、なるべくボールから近い場所、グリーンエッジを越えたあたりに設定するのが基本です。平らな所に落とすのは、バウンドや転がりを計算しやすいから。エッジを越えたあたりに落とすのは、なるべくキャリーを少なくしたいからです(小さな振り幅で打てるということは、それだけミスが出にくい)。もし、そこに急傾斜やマウンドがある場合には、もう少し奥に落とし場所を設定します。また、曲がるラインであれば、それを読んで落とし場所を左右にずらすことは言うまでもありません。

次に、その落とし場所に球を落として、ピンに寄る球筋をイメージします。つまり、何ヤードキャリーして、何ヤード転がる状況なのかを判断するのです。それがイメージできたら、自然に使う番手が決まります。たとえば、ボールから落とし場所までが同じ5ヤードでも、落とし場所からピンまでが4~6ヤードならSW、7~10ヤードならPW、12ヤード以上なら8番という感じです。

もちろん、打ち方、グリーンの硬さ、速さによって転がりが変わるので、これはあくまで目安です。ただ、本番ではこういう判断が常に要求されます。ですから、普段の練習で同じワンレバースウィングをしたときに、8番だったらどのくらい上がってどのくらい転がるのか。PWやSWだったらどうなのかをチェックしておくようにしてください。

画像: グリーン周りのアプローチが残ったら、まずはどこに落とすのかを決める。それが決まったら、自然に球筋、使う番手が決まってくる

グリーン周りのアプローチが残ったら、まずはどこに落とすのかを決める。それが決まったら、自然に球筋、使う番手が決まってくる

ここで大切なのは、ボールのライ、落とし場所、球筋、番手の順で決めるということです。アマチュアの場合、「バンカー越えだからSW」というように先に番手を決め、その番手で攻めるにはどんな球筋で、どこに落とせばいいかと考える傾向があります。

でも、それでは思考回路が逆なのです。同じバンカー越えでも、ピンが奥にあって転がせるなら、無理にSWで高い球を打つ必要はありません。落とし場所とピンの位置によっては、PWや9番を使って攻めることができるかもしれないわけです。

ちなみに、ピンがものすごく手前にある場合などはケースバイケースで攻め方が変わります。レベルと状況によりますが、グリーンの手前の芝が短くて転がしていけるようなら、落とし場所をグリーン手前に設定するのもいいでしょう。ただ、手前が、ラフやハザードの場合、砲台グリーンなどの場合は、基本どおりグリーン上に落とし場所を設定して、多少オーバーしてもいいと思って攻めていくことが大切です。

もちろん、プロだったらロブショットで攻めるケースもあるのですが、こういうときに、得意でもない難しいショットを打とうとすると、不安や恐怖の「心」が出てきます。そうしてグリーンに乗らない、大オーバーする、などのミスを犯してスコアを崩してします。そんなことするくらいなら、確実にグリーンに乗せておく。そうすれば悪くても2パット、上手くいけば1パットで入るかもしれないのです。状況が難しいときこそ、できることだけをやる。それがスコアアップに繋がるのです。

「本番に強くなるゴルフ」(ゴルフダイジェスト新書)より

写真/岩井基剛

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