コースと練習場での大きな違いは傾斜の有無。平らな場所だと打てるのに斜面だと上手く打てない人は多いだろう。「地面ではなく重力に対して真っすぐ立つんです」というのはプロコーチの増田哲仁。著書「ネジらない! から遠くへ飛ぶ、ピンに寄る。」から傾斜を感じない方法をご紹介。

トッププロは「傾斜の消し方」がうまい

同じように振っているつもりなのに、コースでショットがうまくいったり失敗するのは、すべて手打ちスウィングが原因です。手先というのは器用な反面、一歩間違うと勝手な動きをしやすい。コースの状況に、無意識のうちに敏感に反応してしまうのです。

ですから両手の勝手な動きをいかに殺せるかが、反復性の高いスウィングづくりのポイントになります。特に、手先で対応しやすい傾斜地では体と手を一体にして振れる体勢を作ることがまず大切になります。

――足場が不安定な傾斜地では、下半身をどっしり固めるということですか。

ゴルフコースで下半身を固定して、手で打つプロなど、どこにもいません。たとえばプロは、よほどの傾斜でない限り、平らなライと同じ番手を使います。これはスウィングを変えないからそうなるんです。

もし、下半身を固めた手打ちであれば、飛距離は落ちるので大きいクラブを持たなければいけなくなります。しかし、普段150ヤードを8番アイアンで打っているプロは、傾斜地でも8番で150ヤードを打つものなんです。傾斜地で普段の番手どおりの距離が出せないゴルファーは、明らかに手打ちになっています。どうしてそうなるのかというと、それはアドレスで傾斜を消せないからです。

――傾斜を消す? どういう意味ですか。

マスターズのオーガスタナショナルGCは、テレビに映る以上にアップダウンのきついコースです。しかしタイガーやエルスのアドレスを見ると、その傾斜をまるで感じさせないぐらいスッと立っている。それはテレビ映像の錯覚以上に彼らが傾斜を上手に消す立ち方を知っているから、まるで真っ平らなライにいるかのように見えるんです。

画像: トッププロは傾斜地でも真っすぐ立っているように見えるほど傾斜の消し方がうまい

トッププロは傾斜地でも真っすぐ立っているように見えるほど傾斜の消し方がうまい

――斜面に逆らって、真っすぐ立っている、と。

そう。もし、プロが斜面なりに立っていたら、体が斜めに傾くので、画面上ではっきりと傾斜であることがわかるはずです。たとえば、山登りするときに斜面に垂直に歩こうとする人はいませんよね。そんなことをしたらたちまち転んでしまいます。

ただ、「逆らう」という言い方は誤解を招きやすいかもしれませんね。アマチュアの人は斜面なりとか斜面に逆らえといわれると、上半身だけを左右どちらかに傾けることで調節しやすいんですよ。傾斜を消してアドレスするためには、上半身を左右に傾けるのではなく、ひざや股関節の高さを使って調節することが大切です。

これは車のサスペンションを想像するとわかりやすいと思います。車は多少の凹凸があっても、左右のサスペンションの高さを調節することで車体を水平に保ちますよね。そのサスペンションの役割をするのがひだや股関節になるわけです。斜面に真っすぐではなく、重力に垂直に立つ。これが傾斜地でもっともスムーズに動きやすい姿勢なのです。

「ネジらない!から遠くへ飛ぶ、ピンに寄る」(ゴルフダイジェスト新書)より

撮影/有原裕晶

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