今年も全英オープンの季節がやってきた。舞台はスコットランドのカーヌスティ。世界でもっとも難しいリンクスとして数々のドラマの舞台になってきた。そんなカーヌスティで1968年、2度目の全英オープン優勝を飾ったのがゲーリー・プレーヤーだ。50年前の自らを振り返りつつ今年も御大は戦いの舞台を訪れるという。

50年前のあの日プレーヤーは強風が吹く過酷なコンディションのなか後続に2打差をつけクラレットジャグを胸に抱いた。

「どのゴルフコースにも必ずチャームポイントがあるものだが、カーヌスティにはそれがない。ただただ暗い街にある色彩のないコース。悪口をいっているわけではない。それが私の抱いた印象ということ」

画像: ゴルフ界の生きる伝説、メジャー9勝のグランドスラマー、プレーヤーは今年も全英の血を訪れる

ゴルフ界の生きる伝説、メジャー9勝のグランドスラマー、プレーヤーは今年も全英の血を訪れる

プレーヤーは著書「Don’t Choke」のなかにこう記している。

当時としてはジ・オープン史上最長7252ヤードと距離の長いセッティング。意地の悪いハザードがコース中に張り巡らされるなか、もの凄い風が吹き荒れ条件は日に日に難しくなっていった。

そんななかプレーヤーは思うのだ。「ネガティブな材料ばかりだと負のスパイラルに流されがち。でも皆が苦しんでいるということは、自分が少しでも我慢すればチャンスがある」

どんな苦境に立たされてもポジティブなメンタルを貫いたことで彼は難コース中の難コースで栄冠に輝いたのだ。

50年前に思いを馳せつつ今年も“キッズ”たちの戦いを現地で見守るという82歳は、こんなことを口にする。

「コンディションが悪くなるほど実力を発揮するプレーヤーに人生で2人出会っている。ひとりがアーノルド・パーマーでもうひとりがトム・ワトソン。彼らはコンディションなんてなんとも思っていない。現役時代は私も彼らを見習ってどんな状況にも文句はいわず、苛酷なほどチャンスだと思うようにしてきた」

果たして今年、プレーヤーいわく「色彩のないコース」はどんな表情で選手たちを迎えるのだろう? 苛酷なコンディションは覚悟の上。そこでどれだけ前向きに耐え続けられるか? たった1打が明暗を分ける世界でゴルフの神に選ばれしものの頭上に栄冠が輝く。

写真/姉崎正

This article is a sponsored article by
''.