バンカー越えなど、高い球で寄せたいシチュレーションは多くある。アマチュアにはちょっぴりハードルが高く感じる高い球のアプローチ、レギュラーツアーで30勝・シニアツアーで3勝を挙げたレジェンドプレーヤー・倉本昌弘は「適当」に打つのがコツだというが……。自身の著書「本番に強くなるゴルフ」から高い球のアプローチのコツをご紹介。

手前の芝ごと払っていく

アプローチで球の高さを打ち分けようと思ったら、アドレス、ボール位置、スウィングは変えず、クラブを変えることで打ち分ける方法が一番やさしいと思います。

実際、私もSWから7番くらいまでを、状況によって使い分けているのです。プロや上級者の中には、SW1本で高い球から低い球までを打ち分けるという人もいますが、1本のクラブでいろいろな球を打ち分けるためには、打ちたい高さによって、ボール位置や軌道、体の動きなどを変えなくてはいけません。

それでは打つ前に考えることが多くなるので、ミスを呼ぶ「心」が出てきやすい。そして、それを克服するためには、相当の練習量が必要になるため、アマチュア向きとは言えないのです。

画像: 同じ打ち方で7番アイアンからSWを使って球を打ち分ける

同じ打ち方で7番アイアンからSWを使って球を打ち分ける

打ち方は、通常のワンレバースウィング(時計の文字盤の8時から4時の振り幅)、ツーレバースウィング(9時から3時の振り幅)のまま、球の位置も動きもそのままでOKです。

あくまで、同じ打ち方で、クラブが高さを変えてくれる感覚を持つことが大切。ヘッドを横に動かし、払うように打ってボールをフェースに乗せる。そうすることで、球が落ち着いて転がり、距離感も出しやすくなります。

低い球が打ちたかったら、ロフトの立ったクラブを使うだけです。低い球で転がすとき、球を右に置いて上からガツンと打つ人がいますが、それだとロフトが立って当たるため、打点が高くなって必要以上に強い球になり、距離感が出しにくくなるので注意してください。

高い球を打つときも同じ。正しいワンレバー、ツーレバーができていれば、ロフトのあるAWやSWを使うことで、自然にある程度高い球が打てるはずです。

高い球を苦手にしている人は、SWで球をフェースに乗せる感覚をつかむ必要があるので、少しティアップして、ワンレバー、ツーレバーを練習するとよいでしょう。

このとき、手先の力で強く速く打つのではなく、ヘッドの重さを感じながらゆっくりスウィングして打つことが大切です。特に、切り返しでは、動きが速くなりやすいので、時計の振り子が揺れるような、ブランコが揺れるようなリズムで練習して欲しいと思います。

また、練習場では高い球が打てても、コースに出ると上手く打てないという人は、きっちり打とうとしすぎているかもしれません。ボールを芯でとらえるというのは基本なのですが、アプローチで高い球を打つときには、少し「適当」な感じも必要なのです。

イメージとしては、ボールの手前に、小さな(1~2センチ)枯葉があるとしたら、その枯葉ごとボールを払い打つ感じです。これができると、球は自然にふわっと高く上がります。

手前の芝を打つというと、ダフリそうで怖いという人がいますが、それはヘッドを上から下に使って、リーディングエッジから入れている証拠です。

ヘッドを横に動かし、払うように打てていれば、多少手前に入ってもザックリすることはありません。地面が硬くて、ボールの下に芝がないときなどは別ですが、フェアウェイやラフの場合は、球が沈んでいるように見えるときでも、地面とボールとの間には必ず指1~2本分の隙間があるものです。だから、怖がらずに手前の芝を打ってあげる。それが高い球を打つときのコツなのです。

「本番に強くなるゴルフ」(ゴルフダイジェスト新書)より ※一部改変

撮影/岩井基剛

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