今季は日本ツアーに専念し選手会長も務める石川遼。1ラウンド当たりのバーディ獲得率は4.08とただ一人4点台を超え、堂々の全体の1位(8月7日現在)。アグレッシブに攻めてバーディを奪取する石川遼のパッティングを、プロゴルファー・中村修が解説!

L字でも開閉少ないストローク

今季の石川選手のスタッツを見てみると、フェアウェイキープ率(113位)とドライバーショットの不安定さが見られる一方、平均パット数は2位、バーディ率は1位と、パッティングの調子はすこぶる好調です。

画像: アグレッシブ攻めとパッティングを武器にバーディ率1位の石川遼

アグレッシブ攻めとパッティングを武器にバーディ率1位の石川遼

もう少しスタッツを見てみると。パー3のバーディ率は6位タイ、パー4のバーディ率は1位、それに対してパー5のバーディ率は58位。パー5だけ数字が悪いのは、ドライバーショットの影響が考えられるため、後半に向けティショットが安定すれば、さらにバーディを量産してくる可能性を秘めています。

さて、そんな石川選手のスコアを支えるパッテイングですが、そこにはやはり特徴があります。下の写真は4月に開催された「中日クラウンズ」練習グリーンのものですが、まず注目してほしいのは、フェースの開閉が起こりやすいとされるL字タイプのパターを使っていながら、フェースの開閉は極めて少ない点です。

テークバックではトウ側が開きフォローでは閉じようとするパターの特性を逆手にとって、ストローク中フェースの向きをキープすることで、ストロークを安定させ、しっかりとラインに打ち出せる正確さを生み出しています。

じゃあ初めから開閉の少ないマレット型を使えばいいんじゃないかと思うかもしれませんが、きっと、「開閉したがる道具を、開閉しないように振る」というのが、石川選手の感覚にマッチするのでしょう。パットの名手として知られるジョーダン・スピースも、似たような打ち方をします。ちなみに、石川、スピースともにグリップはクロスハンドです。

画像: 画像1/フェースの開閉が少なく手首の余計な動きもない石川のストローク(写真は2018年中日クラウンズ写真/姉崎正)

画像1/フェースの開閉が少なく手首の余計な動きもない石川のストローク(写真は2018年中日クラウンズ写真/姉崎正)

もうひとつ、注目したい点は左手首の角度です。画像1写真左のアドレスで作ったクラブと手首の角度が、フォローでもまったく変わっていません。左手首が甲側や手の平側に折れることもなく構えたロフトでインパクトし、ややアッパー軌道で振り抜けています。そのことで芝の影響を受けにくい転がりのいいパッティングになっています。ストローク中手首の角度を変えないのは、アマチュアゴルファーのみなさんにも大いに参考にしてもらいたい点です。

男子ツアーが盛り上がる一番の要素は石川選手の活躍であるのは間違いなく、本人もそれは重々承知のことと思います。8月23日から開催される「RIZAP KBCオーガスタ」以降の試合でも、ドライバーショットの復調次第では常に優勝争いに絡んでくることは間違いありません。後半戦の活躍に期待したいですね。

写真/姉崎正

This article is a sponsored article by
''.