全米プロの初日、2バーディノーボギーで16位タイと好発進を見せた松山英樹。ここまで思うような結果が出せていない印象の松山だが、今季最後のメジャーで爆発はなるのか? データ分析の専門家、ゴウ・タナカがここまでの成績を分析した。

まず、世界ランキング2位まで上り詰めた松山の去年のスタッツと、現在のスタッツを比べてみる。ドライバー平均飛距離は1ヤードほど落ち302ヤード、フェアウェイキープ率は3%上がり61%だ。ドライバーはやや良くなっていると言えるだろう。

画像: フェアウェイキープ率は3%上がり61%の松山英樹(写真は2018年のマスターズ 撮影/姉崎正)

フェアウェイキープ率は3%上がり61%の松山英樹(写真は2018年のマスターズ 撮影/姉崎正)

パーオン率はというと、3%落ちており66.5%ほど。パーオン率のこの低下は3%とは言え順位でいうと76位も落としているので、フェアウェイキープ率が同じ3%の低下ながら10ランクダウンにすぎないことを考えると、同じ3%でもアイアンの精度の落ちのほうが重大だということがわかる。

パッティングのスコアに対する貢献度のランキングは173位から116位と2017年度より大幅に上げており、アプローチに関しては0.3%の差しかなく、水準を保っていると言える。

では、大幅に悪くなっている数値に着目してみよう。それは、ゴルフにおいてもっとも重要といっていい数値であるパー5でのパフォーマンスだ。

松山選手のパー5での今シーズンの平均スコアは4.71で155位。ちなみに現在世界NO.1のDJは4.45で1位だ。そして着目したいのは松山選手の去年のパー5平均スコアだ。4.48でなんと1位だったのだ。DJは去年も4.52で3位タイと非常に安定したパフォーマンスを残していた。

松山選手のパー4でのスコアは0.03平均で落ちており、順位も28ランク落としているが、パー5でのパフォーマンスの落ちに比べれば大きな問題とは言えないだろう。

スタッツの数値だけを見て言えることは、ドライバー、パターは良くなり、アプローチ、パー4でのパフォーマンスに大きな変化はなく、パー5でのスコアリングに大きな差がでているということだ。

スタッツ解析をやり続けてきた私が言えることは、ドライバーの精度というのは思いの外スコアに影響しない(当然55%という最低限求められる数字はある)。松山選手の今年のスタッツもそれを顕著に物語っている。

松山選手が復調するには、とにかくパー5でのパフォーマンスを戻すことにある。細かい数値になるが、松山選手が著しく精度を落としているショットがある。それは225~275ヤードのレンジのショットだ。250~275ヤードでは7.5m、225~250ヤードでは4mも平均で寄らなくなっているのだ。そして50~125ヤード、75~100ヤードのレンジでも数字を落としている。

画像: パー5でのパフォーマンスがカギを握るとタナカは分析する(写真は2018年の全米オープン 撮影/岡沢裕行)

パー5でのパフォーマンスがカギを握るとタナカは分析する(写真は2018年の全米オープン 撮影/岡沢裕行)

つまり何が言えるかというとパー5で重要なセカンド、サードショットの精度が大きく落ちてしまっているということだ。

ティショットがラフに入ってもそこからバーディを奪えるか?

復調のためにはパー5でのパフォーマンスが落ちている原因を見つめ、安定したスコアを残すためのスコアリングのバリエーションを増やすことを徹底することが良いだろう。ドライバーの距離は世界NO.1のDJには13ヤード平均で劣るものの十分と言える。現にその飛距離で去年は圧倒的なパー5でのパフォーマンスを実現していた。まず、ロングアイアン、ウッドの精度、そして2オンがかなわない時のサードショット(75~125ヤード)の準備が必要になってくるだろう。

DJはトラックマン(弾道計測器)を使い、100ヤード前後のウェッジショットの詳細を徹底的に研究し練習していると聞いた。これはパー5でのティショットに失敗し、2オンできない時のバックアッププランで、3打目でもバーディーのチャンスを徹底的に追求することだ。そしてラフからの100~200ヤード、200ヤードのショット精度が1位、2位だ。

ジョーダン・スピースも世界NO1に君臨していた時のラフからのショットの数値が非常に高かった。ミスをした時にもチャンスがあり、リカバリーもできるという準備の表れだ。これらの準備が、DJが世界NO.1を維持し続けている大きな鍵になっていると言えるだろう。

見える事実を分析するとこのような結果になる。とはいえ、日本史上最強の松山選手、間違いなく修正してくるのではないだろうか。

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