下部ツアーが活気づいているという噂を聞き、ゴルフスウィングコンサルタントの吉田洋一郎がステップアップツアーの試合会場に足を運んだ。そこで見つけたのは、若手とベテランのスウィングの“変化”だった。

男子化しているスウィング

今季からリランキング制度ができ、レギュラーツアーへのステップアップの場として重要性が増したステップアップツアー。今季ステップアップツアーで2勝を挙げた原英莉花のように、ステップアップツアーで勝った勢いでリランキング上位に食い込む選手が多く出てくることでしょう。新たなスポンサーがついたり、メディアの露出が増えているステップアップツアーの現状をレポートするため、7月末に千葉県で行われたカストロールレディースに取材に行きました。

画像: カストロールレディースを制したのは21歳の高木萌衣

カストロールレディースを制したのは21歳の高木萌衣

プロテストに通過して数年の若手の大会と思われがちですが、鬼沢信子や福島浩子といったレギュラーツアーで複数回優勝しているベテランも多く出場しており、若手・中堅・ベテランのバランスの取れた大会となっています。

そんなステップアップツアーで昨年賞金女王に輝いたのは、3勝を挙げる活躍をみせた天良枝里子です。天良は今年29歳の中堅プロ。今季はレギュラーツアーに挑戦をしています。

会場でプロのショットを見ていると中堅やベテランプロと若手とでは、スウィングのタイプが違うことが分かります。

キャリアの長い選手は深いトップでスウィングアークを大きくし、ヘッドの運動量で飛ばしている傾向にあります。不動裕理などもこのタイプです。遠心力を最大化させヘッドを走らせて、インパクトの衝突エネルギーを大きくする飛ばし方です。

一方、今季ステップアップツアーで優勝している原英莉花や蛭田みな美といった10代~20代前半のプロは、コンパクトなトップから下半身リードでヘッドを引っ張り下ろしてきます。クラブに任せるのではなく自らの動きでヘッドを加速させているのです。

画像: 不動裕理(写真左)と原英莉花(写真右)のトップの位置を比較すると、違いは一目瞭然(撮影/大澤進二)

不動裕理(写真左)と原英莉花(写真右)のトップの位置を比較すると、違いは一目瞭然(撮影/大澤進二)

以前はクラブ自体の重量が重く、筋力のない女子はクラブの運動量で飛ばすというのが定説でした。しかし現代ではクラブが軽量化され、合理的な筋力トレーニングが常識となっています。そのことから女子プロでも男子のように下半身リードから、腕と体を一体化させてヘッドを走らせるという動きにシフトしてきているのでしょう。

下部ツアーのバーディ女王

ステップアップツアーで結果を残しても、即レギュラーで活躍となるわけでありません。昨年3勝を挙げた天良も、今季レギュラーツアー19試合に出場して最高位が16位タイと苦戦を強いられています。

「やっぱりコースセッティングは優しいと感じる」と言うのは、今季ステップアップツアーで最多のバーディ数を獲得している西木裕紀子です。

「ピンポジションはステップアップツアーでもきわどい位置に切られている事もあるので、その点では難易度は変わりません。芝の刈高もそれほど差はないかもしれません。でもステップアップツアーではグリーンのコンパクションはやや軟らかいので、狙いどころが変わってきます」

画像: ステップアップツアーで活躍する西木裕紀子はレギュラーツアーとのグリーン周りの違いを話してくれた

ステップアップツアーで活躍する西木裕紀子はレギュラーツアーとのグリーン周りの違いを話してくれた

レギュラーツアーには近づいているものの、コースコンディションのレベルにはまだ差があるようです。こういったフィールドのレベルがレギュラーツアーに近づくことで、全体レベルの底上げにもなってくるでしょう。

綾子さんの解説を見て、直接話を聞きに行く

現在ステップアップツアーはCSのスカイAが初日からティショットをすべて見せるなど、中継に力を入れています。

「選手からスウィングチェックのために、カメラアングルを変えてほしいという要望があり、そういったことにも柔軟に対応しています」

こう教えてくれたのはスカイA編成局制作部課長の辻村剛史さんです。

「解説は岡本綾子さんなど選手経験者に依頼しているのですが、自分のプレーについて岡本さんが指摘した内容を参考にしたり、詳しく話を聞きに行く女子プロもいると聞きます」

レギュラーツアーほど大きな規模でないからこそ、スピード感を持って試行錯誤ができるステップアップツアー。こうした取り組みが繰り返されれば、下部ツアーで活躍した選手がレギュラーツアーで上位に食い込むという場面を多くみられるようになるかもしれません。

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