独自に考案した「ツイスト打法」で300ヤード以上飛ばす“雑巾王子”こと武市悦宏。自身の著書「オレって、こんなに飛んだっけ?」より、ドライバーを速く振るコツを紹介!

仕事をサボってクモの巣除去の棒を振ったら気づいたんだ

棒を持つと、振り回したくなる衝動に駆られるのは僕だけ? ゴルファーなら誰でもそうじゃないかな。

こないだ岐阜からひさびさに上京して、新橋駅に行ったの。そしたらホームでビニ傘をブン振り回してるサラリーマンがいてビックリしたよ。危ないっつーの、って言いたくなったけど、でもその気持ちわかるな~。

といっても、グリーン上で旗竿を振り回す人はおらんわね。でも、やっちゃうのが僕。

まだ飛ばないときのこと。お客さんとのラウンドで、先にホールアウトしてたから旗竿を持って待ってたの。体が勝手に反応して振り回しちゃったわけ、グリーン上で。勢いよく振ったけど、“ガガッ、ガガガガガーッツ”。ダウンスウィングの途中で旗竿の先っぽがグリーン上に落ちて、芝を削っちゃたんだわ。グリーンキーパーにひどく怒られたね。その晩、それが気になって寝られなかったんだ。怒られたことじゃなくてダフったことがね(笑)。

画像: 旗竿でスウィングする武市。真似しないでください

旗竿でスウィングする武市。真似しないでください

「プロでもダフるけど、どんなに長いクラブを振ったって、あんな手前からダフることなんてありえない」

モンモンとしちゃって寝れないから、朝4時に家を飛び出してゴルフ場に行ったんだ。旗竿を振ろうと思って。

夜明けの誰もいない18番。今度はグリーンじゃなくてフェアウェイで、思いっ切り振ったの。そしたらまた“ザザッッ、ザザザザザーッツ”。

またしても、ダフってしまった。今度はゆっくり振ってみたらなんとか振れた。そのときの結論は、長いからゆっくり横振りすれば当たらない、そのときはね。

数日後、グリーンキーパーから、グリーンを傷つけた代償として、コース管理の手伝いをさせられた。

「飛ばないけど俺はプロだぞ!」

と、思いつつも罪悪感からお手伝い。力仕事は面倒だから、楽そうなクラブハウス周りのお掃除をしたの。そのときやったのが、天井にあるクモの巣の、先端にフワフワした綿がついた6メートルくらいの棒での除去作業。

そう、棒を持つとまたゴルファー心に火がついちゃうじゃない。掃除なんかそっちのけで、今度は旗竿の倍以上の6メートルはある、クモの巣除去棒を振っちゃったんだ。そしたら、なかなか先端がインパクトに戻ってこないんだ。いわゆる腕が体の正面から外れて振り遅れちゃてるの。これで気づいたんだ。

長いものを速く振る、そう14本の中でもっとも長いドライバーを速く振るには、インパクトにヘッドが戻ってくるのを“待つ”ことが必要なんだ。ダウンで体重移動なんて意識してたら、ヘッドは戻ってくるはずない。待てないから振り遅れるし、ボールに力が伝えられない。これが飛ばない原因だった。

ヘッドを待つって言われてもって、そんなの簡単よ。手元を体の正面から離さず小さく動かすってこと。ハンドファーストなんて考えたらダフるよ。それで、頭の上から1本串が突き刺さった状態で、下半身を固定して振るだけ。軸が固定していれば、遠心力が強くなる。ヘッドが加速するから飛ぶに決まってるよね。

画像: 頭の上から一本串が刺さったイメージで軸を固定。下半身を固定し、ヘッドを「待つ」のが飛ばすこつ

頭の上から一本串が刺さったイメージで軸を固定。下半身を固定し、ヘッドを「待つ」のが飛ばすこつ

その日から、このクモの巣除去棒で、空き缶を打つ練習をした。以来、ホント飛距離が伸びだしたんだ。

掃除サボったおかげで、飛距離が伸びちゃったから、今でもグリーンキーパーには頭が上がりません。

「オレって、こんなに飛んだっけ?」(ゴルフダイジェスト新書)より

撮影/姉崎正

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