ツアー復帰も危ぶまれた状況から、メジャーで優勝争いを繰り広げ、ついには今季最終戦で復活優勝を果たしたタイガー・ウッズ。タイガー・ウォッチャーであり、その復活に涙を流したというプロゴルファー・吉田一尊は「飛ばさないスウィングで勝ったことが本当に凄い」と語る。一体どういうことか、詳しく聞いた。

「タイガーが優勝したツアー選手権での平均飛距離は304ヤードでした。これは、いまのPGAツアーでは決して飛ぶほうの数字ではありません。ですが、タイガーは、今回の試合では明らかに“飛ばさないスウィング”をしていました」

そう語るプロゴルファー・吉田一尊。吉田によれば、今回のタイガーは、基本的にティショットでフェードを多用。無理にボールをつかまえにいかず、安定したフェードボールで“置きに行く”マネジメントを徹底していたという。

「シーズン序盤、タイガーは体の状態が戻ってきたこともあり、ヘッドスピードのその時点でのツアー最高値を叩き出すなど、キレキレのスウィングをしていました。それに比べ、ツアー選手権でのタイガーは、明らかにゆっくり振っていました。振り回して攻めるのではなく、右にプッシュアウトしないように気をつけながらラインを出していく固いゴルフ。私が驚いたのは、“それでも平均304ヤード飛んでいる”という点です。あのような打ち方をしたら、普通はそんなに飛ばせませんから」(吉田)

画像: コントロール重視で平均304ヤード飛ばしているタイガーはやっぱり凄い(写真は2018年の全米プロゴルフ選手権)

コントロール重視で平均304ヤード飛ばしているタイガーはやっぱり凄い(写真は2018年の全米プロゴルフ選手権)

タイガーは、同組のロリー・マキロイよりも飛んでいなかった。しかし、実際はそうではなく、「飛ばしていなかった」のだ。飛ばしていないにも関わらず平均で304ヤード飛ばせている。その事実に、吉田は驚愕したという。

「置きに行って300ヤード飛ばせるということは、タイガーは振りちぎれば350ヤード級の飛距離が出せることを意味します。シーズン序盤は“振っていた”タイガーが、最終盤になって振るのをやめ、コントロール重視しつつ、それでも平均並かそれ以上に飛ばして勝利を手にする。正直に言って、復活優勝ではありますが、勝ち方としては全盛期の勝ち方に近いという印象です」(吉田)

1990年代後半から2000年代にかけて花開いたタイガーの伝説は、事故や怪我、手術に逮捕といった苦難に次ぐ苦難を乗り越え、2010年代も終わろうという今、第二章が幕を開けようとしているのかもしれない。

撮影/姉崎正

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