上級者が好んで使っていたり、ときに契約フリーのプロゴルファーのキャディバッグの中に入っていたりもする、「地クラブ」と呼ばれるクラブたち。だがそもそも「地クラブ」とはいったい何なのか。大手メーカーのクラブとの違いについて、業界屈指のギアオタクでクラブフィッターの小倉勇人が考えた。

こんにちは。ギアオタク店長の小倉です。みなさんは「地クラブ」と呼ばれるクラブの事をご存知でしょうか。地クラブとは、明確な定義がないのですが主に「比較的小規模なメーカーがヘッドパーツとして販売しているモデル」の事を指してこう呼びます。クラブとして販売しているケースもありますが、地クラブと呼ばれるメーカーほとんどが、ヘッド単体のパーツ販売がメインとなっているのが実情です。

画像: ヘッド単体パーツが販売のメインになっている

ヘッド単体パーツが販売のメインになっている

なぜ地クラブと呼ばれるようになったのかは諸説ありますが、こういったメーカーは、パーツ販売がメインなため、大手ゴルフショップには並ぶことは少なく、主にゴルフ工房が販売先となります。会社の規模的にどうしても営業や宣伝が十分にできる範囲が限られてしまうため、評価の高いヘッドが生まれると一定の地域から評判が口コミで広がるところからだと言われています。

地クラブは生産数が少ないため、製品管理が少なくて済むので精度が高いクラブが多いと言われています。大手メーカーでは生産数が多いため、反発係数のルールギリギリの設定でヘッドを作ると誤差でルール上限を超えてしまうリスクがあります。そのために安全圏の反発係数の設定にすることが多いのですが、地クラブのヘッドは数が少なくチェックも容易なためにルール上限ギリギリまで設定することができるというのがその理由。

そのために地クラブのヘッドは大手メーカーより飛ぶなどといったウワサがありました。ちょっと前まではその通りでしたが、今では大手メーカーの製品精度も高まっており、中には全品検査をしているメーカーもあるので一概には言えないですね。

画像: 地クラブメーカーは製品精度が高い

地クラブメーカーは製品精度が高い

地クラブは、主に上級者に好まれます。その理由はいくつかあります。

ひとつめは、性能が尖がったモデルが多いということ。大手メーカーのヘッドなどと差別化するために、使うと想定されるゴルファーをかなり絞り込んで開発しているケースが多く、“合う人には、とても良い結果をもたらすが、合わない人にはとことん合わない”といったモデルが多いのです。そのため、自分のゴルフをある程度把握した上級者がより自分に合ったクラブを求めて地クラブの世界へ足を踏み入れます。

ふたつめは、自分の好みのシャフトやスペックを初めから作ることができるということ。大手メーカーでもカスタムシャフトという形でシャフトをある程度選ぶことはできますが、モデルはもちろん重さや長さなどの設定に限界があります。リシャフトするにしても、ヘッド単体で購入できないぶん、最初のシャフトは購入しなければならないため、無駄が生じてしまいます。

画像: ドライバーだけでなく、アイアンや、工房オリジナルの“地ウェッジ”なども人気

ドライバーだけでなく、アイアンや、工房オリジナルの“地ウェッジ”なども人気

対する地クラブは工房などカスタム前提のショップから購入するため、ヘッドの性能はもちろん、シャフトのモデルやスペック、バランスや長さまで最初から細かく作ることができます。これは試合などに出場しているアスリートなど、シビアな結果を求められるゴルファーには、非常に大きなメリットになるのです。 

では、アベレージゴルファーは地クラブを使うメリットは少ないのかというと決してそうではありません。しかし、使う人の情報と、使われるヘッド両方の知識が必要になります。使う人の情報とは、スウィングのクセ、ミスの傾向などといった部分。

大手メーカーのモデルに比べて個性が強いぶん、しっかりと使うゴルファーに合わせないと簡単に当たらない飛ばない、曲がるクラブになってしまいます。どのクラブを使うにしても配慮する必要はあるのですが、大手メーカーのクラブの方が幅広いゴルファーを想定して作られているので、そこまでひどい結果にはなりにくいのです。

まとめますと、地クラブのメリットは、尖った性能のモデルが多く合う合わないがハッキリ出るのでしっかり自分のクセやプレースタイルに合わせて選べば、思い通りの結果を得やすいクラブであるということにあります。

デメリットは、ある程度しっかりした知識がないと自分に合ったモデルを探しづらいということ、そしてやや値段が高いというところです。しかし大手メーカーもカスタムに力を入れてきていますし、尖った性能を持ったクラブもちらほら出てきています。大手メーカーのクラブでもカスタムシャフトを選んで購入すると、地クラブを作った価格とさほど変わらなくなってきています。地クラブはメリット、デメリットがありますが、前よりもその差がなくなってきている気がしますね。

撮影/野村知也

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